2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

サドンデス中量級

階下も隣室もひとが越してきてしばらくになるが、読書をしようと決めていちにちじゅう家にこもっていたある日、日の浅い方に住む男が引越しのあいさつをしにインターホンを鳴らし、菓子折りを差しだしてきた。東京にきてからこんなことははじめてだ、と書き…

の方が好ましいというときの切り捨てられた方に花を渡す

2010s映画ベスト50+(20→11) 順位は観た当時の評価をもとに作成。観た映画の本数は毎年50-100本程度増えており、年々目も肥えてきているはずなので、現在観かえしたらずいぶんさまがわりするのではと思うが、そこまでやっているときりがないのであえて手を…

ココモレのヒンカリ

オウリー・パークの蝶番に蜘蛛の巣が張ってあったとベニマルが気づいたのは2月の頃で、それを思いだしてパルに伝えたのはもう桜も散った5月も末のことだった。クライシアン・ガーデンの畑ではすでにねずみ狩りがはじまっており、ブラキオ・ブリッジの下では…

獰猛派

赤坂蚤の市はブルジョワ全開ファインオーケーな感じだったので早々に退散して京都に移転してしまう前にと近美の工芸館にゆく。まだいったことがなかったので最初で最後の訪問となる。工芸といえばスパイラルでたまびの工芸科の卒展も観た。観ている最中はと…

フェイバリット石、フェイバリット草

2010s映画ベスト50+(30→21) 順位は観た当時の評価をもとに作成。観た映画の本数は毎年50-100本程度増えており、年々目も肥えてきているはずなので、現在観かえしたらずいぶんさまがわりするのではと思うが、そこまでやっているときりがないのであえて手を…

苦心の味

東京のよいところのひとつに、周回遅れで映画を上映してくれるミニシアターがいくつもあって、その上名画座もたくさんあるので、何年かのちに観逃した映画を観ることができるというのがあります。タイカ・ワイティティ『ジョジョ・ラビット』はそれに期待し…

ライク・ア・イクラ

2010s映画ベスト50+(40→31) 順位は観た当時の評価をもとに作成。観た映画の本数は毎年50-100本程度増えており、年々目も肥えてきているはずなので、現在観かえしたらずいぶんさまがわりするのではと思うが、そこまでやっているときりがないのであえて手を…

誰がその先に立っているの?

ユニクロを爆買いしている。明日からのユニクロユーの本格展開を前にして、すでに先行販売されているユーのカットソー3着と、イネスとのコラボ2着、値下げされた通常ラインの薄手のニットを買っている。50色靴下も昨年4足買い、今月になって春をテーマにまた…

アンタッチドあんたんち

自由が丘に片手鍋を見に行った。現在使っている鍋は蓋の取っ手がはずれ、鍋底は削れに削れまくってもう限界という様相で、この機にいろいろキッチンウェアを買い揃えようという魂胆である。先日は無印でバットを購入した。揚物の衣入れや切った野菜の一時避…

わたしに流れる時間のラブ

2010s映画ベスト50+(50→41) 順位は観た当時の評価をもとに作成。観た映画の本数は毎年50-100本程度増えており、年々目も肥えてきているはずなので、現在観かえしたらずいぶんさまがわりするのではと思うが、そこまでやっているときりがないのであえて手を…

何ひとつ確かめるすべなどないさ

すねのあたりがかゆくてしょうがない。乾燥肌というやつだ。ほおのあたりが粉を吹くのに鼻はあぶらでてかてかになるのはなぜなんだ。無印の化粧水と乳液をつかっているがおすすめがしりたい。実家に帰ると親のアベンヌウォーターをぷしゃーとふきつける。今…

暗記されたエピローグ

人生の気合を入れなおさなくては。そのような思いとともに、フィクションへの注力が必要だとの想念に駆られている。それはげんじつへの抵抗として企まれているのかもしれず、そうした勇気をわたしは今年の恵比寿映像祭を観ることによって獲得した。いくつか…

踏みつぶされたちゃちな外殻

いがらしみきお『i』を読みおえる。そこに書いてある言葉がわかるが、言葉でわかってしまえばそれは言葉に過ぎず、かといって言葉以外で「わかる」なんてことは起きえない。そこでくりだされる「言葉」が〈見ればそうなる〉だ。なることはわかることとちがう…

許されるかぎり長いあいだ眠った

ウイルス性胃腸炎に罹り、週の前半は暴れ狂う大洪水が上からも下からもやってくる、地獄のような日々を過ごしていた。ふたつの穴から緑の体液がとめどなくあふれ、熱がずっと持続し、水以外体が受けつけず栄養が取れないために、ふらふらになりながら布団と…