2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

芽が生える前の一夜(脱ぐべき皮膚も爛れてしまって、

所持することによって傷物になっていくことに抵抗はないのに、得るまえは無傷な状態であってほしいと願うのはなぜか。本を買うときの話である。よれたカバー、やぶれた帯、すれた小口……。古本への抵抗もないというのに。贅沢な話だ。指をずっぱり切ってしま…

ハイチの起床

0/100で考えるものごとのおもさを、1-99のグラデーションによってはかりなおすだけで、多少は心も晴れることがある。なぜひとは極端なものに安心をおぼえるのか? 宙吊りに自らを留めうる忍耐をもたないからである。あいだにとどまりつづけることの苛烈さに…

自らを殺さない方に行く

自己の感性への信頼が裏切られるような出来事のつみかさねがわたしを〈世界不信〉へとみちびき、生は無の連続でしかないということを容赦なく告発する。幾度も経験したドス黒いあざやかなひかりが、まあたらしい皮膚をまとった無軌道のけものが、何重にも周…

跨いだゆびの隠しかた

鳥公園『終わりにする、一人と一人が丘』、皮膚についての芝居、剥きだされた部分の緊張、わたしとわたし以外をわけへだてるいちまい、作中で寓意として語られる語の慎重さを一笑にふしてしまうことが観劇のシステムにおいて再演されることの憂鬱、破れやほ…

ひとりのこらずひきょうものたちを殺す

数年ぶりに文フリに行って思ったのは装丁・造本・組版がよくないと購買のちからがでないということだ。とくに組版がだめだと、よさげな執筆陣でも買うのをためらってしまう。上記の三条件がよければテキストがさほどでも買いたくなってしまう。これは書店で…