獰猛派

赤坂蚤の市はブルジョワ全開ファインオーケーな感じだったので早々に退散して京都に移転してしまう前にと近美の工芸館にゆく。まだいったことがなかったので最初で最後の訪問となる。工芸といえばスパイラルでたまびの工芸科の卒展も観た。観ている最中はとくに何を思うでもなくそのユニークな造形をひとつひとつながめていたが、あらためて考えてみると、大学入学以前に工芸に興味をもてる環境ってすごいなと思う。近美工芸館は、外観が立派なわりに館内はわりとこぢんまりしていて、半日どっぷり工芸の世界にひたろうと考えていたスケジュールがくるってしまい、大いに時間をもてあますこととなった。何よりも常設展がないのにおどろく。とりあえず渋谷に向かいつつ、通信制限にうなりながら『ミッドサマー』のソールドを確認し、『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を観ることを決める。2010s映画ベスト50のコメント執筆および予告編サルベージ作業中にたまたま発見し、おもしろそうだしこういう映画さいきん観に行ってないなと思いタイトルをメモしていたのだった。なおじっさいは期待値以下だった。ハリウッド的物語展開に毒された不要な小刻みなカット割(主人公ふたりが海を歩くシーン、そこで切る必要ある??)と、起伏のちいさすぎる脚本、、だけれども、こういう出会いがなければ人生は細まるだけである。自らの嗜好とはべつの領域へと手をのばすこと。

上映まで時間に余裕があったのでタワレコに向かう。ポイントが失効しますよとメールがきていたので、何かLPでもと思うがきめられず。ボンベイかキング・クルールかな。近日中にはサッカーマミー、ユーエスガールズのリリースもある! ので、アップルミュージックで聴き比べてから再訪する。メールといえば、バットシェバの来日公演が中止になったのにそれをしらせる連絡がきていない。プレスリリースはまだしも、ついった優先なのは時代でしょうか。まだ日にちに余裕があるとはいえ、さすがにひどいのでは(こちらから連絡をしたらていねいにこたえてもらった)。はじめてコロナの余波を身を持って受けている。たしかに週末だというのに銀座も渋谷もひとが少ないと思った。映画館は混雑しているのに!

イートウツのコートを試着した。写真を見ているだけでもカッコよさがバリバリ伝わってきたというのに着てみるとさらにむちゃくちゃにカッコよく、やはりいいものはいいんだという感動で満たされてひじょうに高揚したのだけれど、いかんせん値段もカッコよすぎておいそれと手がだせないのだった。わたしにもいつか服に2桁を払うようなときが来るのだろうか? 羽織ることによって自身のなかでのファッションスケールがおおきくなったような、そんな気分になる。


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いつぞやのジャパニーズブレックファスト、シューゲイザー飲みでもかけた、ジャケ含め1st名盤です


銀座のぎゃらりもまわる。資生堂ギャラリーの匂いの展示、調合された香りをひとつ選んでそれを食べるという作品なのだが、ずいぶんとひとがならんでおり、匂いを嗅ぐだけであきらめた。待つことに対しての抵抗が千葉市美のトラウマによって増しているのではなどと思う。ガーディアン・ガーデンの平本成海、受賞しなかった年の展示がいちばんよかったのだが、やはり好きな作風だなと思う。フライヤーにある作家コメントがすでにサイコーで、ゆえにそれを展示にもうまいぐあいに取り入れていてほしかったのだが、それを差し置いても魅力的な作品。編集の意識が通底している。編集といえばアキバタマビ21での「制作と編集」展も観にいった。編集的連接によってつむがれる好きなタイプの作品があつまっており、たいそうよいきもちになる。発見という点ではグラフィティのひとというイメージのあったBIENの映像とアッサンブラージュがよかった。

帰宅し、浴びるように酒を飲む。コナン・モカシンを爆音でかけながら、まどろみのなかへと落ちていく。お酒はいいもんだねえ、、(ここまで書いて寝落ちた)