愛をふたたびがん張るのです

映画をとりわけ観なかった昨年、一昨年よりは多少回復の気を見せたが、それでもとうてい映画好きとは言えない本数しか作品を観ることができなかった。そんな2024年のふりかえりを、例年通りいくつかのジャンルに分けておこなっていく。


▼2023年のふりかえり
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▼2022年のふりかえり
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▼2021年のふりかえり
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▼2020年のふりかえり
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映画。今年も5作。

1.三宅唱『夜明けのすべて』(2024・劇場)
2.バルトシュ・M・コヴァルスキ『誰も眠らない森2』(2021)
3.アリーチェ・ロルヴァケル『墓泥棒と失われた女神』(2024・劇場)
4.五十嵐耕平『SUPER HAPPY FOREVER』(2024・劇場)
5.渡辺生・佐藤真『おてんとうさまがほしい』(1994・劇場)
(リンク先はそれぞれの作品に触れている記事、以下の文章でも同)


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近年のわたしなぞよりも遥かに映画をたくさん観ている年長の友人が「テレビ映画」云々と腐すのを耳にして、このひとの審美眼は当てにならないな、と思ってしまったほどに『夜明けのすべて』はすばらしかった。この作品に「映画のよろこび」を見いだせないでいったい何を見いだせるのか! 選外では押山清高『ルックバック』(2024・劇場)清原惟『すべての夜を思いだす』(2022・劇場)もよかった。


音楽。今年は明確にいいアルバムにであえた。近年はあまりそういうアルバムに突き当たることができなかったので、新譜をよろこべることが心底うれしい。以下、リリース順。

1.Vampire Weekend『Only God Was Above Us』(2024)
2.OGRE YOU ASSHOLE『自然とコンピューター』(2024)
3.W.H. Lung『Every Inch of Earth Pulsates』(2024)
4.Nap Eyes『The Neon Gate』(2024)

最も聴いていたアルバムはトゲナシトゲアリの『棘アリ』(2024)『棘ナシ』(2024)の2枚だが、これは音楽としてよかったというよりも「ガールズバンドクライ」というムーブメントとしてわたしに刺さっていたので除外(Apple MusicのReplay '24、TOP20のうち17曲がトゲトゲ+ダイダスの曲だった、ほか、オウガ、ボアズがTOP500、アート、シロップがTOP1000リスナーに入っていた)。ほか、Idles『TANGK』(2024)、Honeyglaze『Real Deal』(2024)あたりもよかった。新譜ではないが、バーガーナッズがサブスク解禁したのもわたしにとって大きなニュース。とりわけ『symphony』(2014、原盤は2003)はたくさん聴いた。同じく今年リリースではなく、新たな発見という意味ではZoe Polanskiがよかった。『Violent Flowers』(2020)というアルバムタイトルもサイコー。年末にはじめた学マスの楽曲群も口ずさみたくなるたのしさがあった(いちいちアートワークがイケてるのもいい、デザインに気をつかえるオタクコンテンツラブ!)。世界一可愛い!


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本。そもそもの読書量が少なかったのもあるが、これ!という本はなかった。もしも読んでいたら記録しただろうなと思う本は何冊もある(『別れは告げない』やら『私たちはいつから「孤独」になったのか』やら)。積み本は一向に増え続けているが、次第に購買量も減ってきている気がする。これは単に経済力の問題かもしれない。

漫画。鬼頭莫宏『完全版 終わりと始まりのマイルス』が刊行されたのがうれしかった。今日マチ子『かみまち』が胃にズドンとくる作品で印象に残っている。安田佳澄『フールナイト』がずっとおもしろい。今年連載開始のweb漫画では、くぼたふみお『チンチンデビルを追え!』、とこのま『稲穂くんは偽カノジョのはずなのに』あたりをたのしく読んでいた。


アニメ。

[完走]
小川孝治『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)
堀元宣『メタリックルージュ』(2024)
若林信『ワンダーエッグ・プライオリティ』(2021)
渡邊政治『グランベルム』(2019)
高松信司・春日森春木『アストロノオト』(2024)
酒井和男『ガールズバンドクライ』(2024)
伊部勇志『ぷにるはかわいいスライム』(2024)
山代風我『ダンダダン』(2024)

[視聴中]
富野由悠季『OVERMANキングゲイナー』(2002)-6話
渡部高志・松根マサト『魔法使いになれなかった女の子の話』(2024)-11話(あと最終話だけ!)
西尾大介ふたりはプリキュア Max Heart』(2005)-32話(2024年7月頃に止まっている!)
富野由悠季機動戦士Vガンダム』(1993)-4話(2023年6月頃に止まっている!)

[頓挫]
北村翔太郎『負けヒロインが多すぎる!』1話にて
太田雅彦『しかのこのこのここしたんたん』(2024)2話にて
吉村文宏『僕の妻は感情がない』(2024)2話にて
福田己津央・久藤瞬『グレンダイザーU』(2024)2話にて
岡本英樹『2.5次元の誘惑』(2024)2話にて
神戸守『小市民シリーズ』(2024)1話にて


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それなりに本数は観たが、同時にたくさん頓挫した年だった。夏アニメに至ってはぜんめつである。観た作品のなかでは、『ひろがるスカイ!プリキュア』、『ワンダーエッグ・プライオリティ』、『ガールズバンドクライ』の3本が頭抜けてよかった。とりわけ後者ふたつはオールタイムベストの末尾をかすめるのでは?と思わされるほどに(ベスト20にはまちがいなく入る)。『メタリックルージュ』もゼロ年代のムードが香っていてとても好きだった。感想リンクは記事が分割されているので割愛。



その他。今年最大のトピックはなんと言ってもベースの再開である。これももとをただせばガルクラの影響なので、2024年のマイベストコンテンツは『ガールズバンドクライ』以外にない。放映後半年経ってもいまだに熱量が燃えつづけているのがすごい。作品自体が傑作なのかと問われると簡単にうなずけない自分がいるのだが、しかし観おえてすぐに2周したアニメは人生初だったし(というかアニメを2周すること自体はじめてである)、げんじつに存在するバンドとアニメのなかのバンドが地続きであるという構造がムーブメントとしてわたしに深く突き刺さっているのは事実である。アニメ本編がおわっても、ガルクラはまだおわっていないという作品のフォルム。2025年も引き続き追っていくことになるだろう。

関連して、音楽に対するモチベーションが過去最大値を更新している。聴くではなく、演るほうで。2025年は曲をつくったりライヴをしたりしたい。自分はスキルがないのでベーシックなものよりも飛び道具的な機材に手をのばしがちなのだが、その性向は変えられないにしてももうちょいちゃんと弾けるようにもなりたい。



目あてのふりかえり。

2024年の目あては何か。ポケモンマスターになる!くらいしか浮かんでこない。意気や情熱みたいなものが20代の頃に比べて明確に低下している自覚がある。それを焚きつけ、研ぎ澄ませることをひとまずの目標にしておく。

ポケモンマスターにはなれなかった(もう何ヶ月も起動していない)。意気や情熱はどうか。去年よりもさらに失せている気しかしない。が、上でも触れた通り音楽に対してはふつふつと燃えるものがあり、じっさい機材も増えつづけているので、2025年はこれが実をむすべばいいなと思っている。

パブリッシュしていくつもり、と書いたzine類はけっきょく1冊も刊行できずじまいだった。同人誌はつづいているのでそっちでよろしく頼んます!という感じ。しばらく放映していないラジオはアンビエント~ノイズ~ビートミュージックのマシンライヴ配信に取って代わるだろう予感がある。

2025年には何を標榜しようか。音楽をやる、(例年よりも)ロードバイクに乗る、もう一個くらい何かあったらいいのだが浮かんでこない。ローカルに根ざした何事かをやってみたいきもちがあるが、ソフトはあってもハードがない。そうなると簡単にできるのは路上ライヴとか? そういう身のくりだしをやれたらいい。身投げ。2025年のテーマは身投げにする。