今日マチ子『かみまち』上巻。胃が痛くなってくる。つらさの倍々ゲームみたいな感じで、頁をめくっていくたびに心が沈んでいった。タイトルの通り神待ち少女を題材にとった作品。「逆さの円錐」というイメージが作中にでてくるが、その深みへとあっという間に落下していく感じがある。毒親・レイプ・売春・家族間性的虐待といった暗いテーマを扱う本作だが、本文用紙に重い紙をつかっているところがこころにくい。造本設計の妙とはこういう箇所にあらわれる。
漫画としての巧さは、たとえばp.184の幼少期のありさ(アゲハ)が誘拐されるシーン。連れ去られる車の窓から見えた家や看板が横一線のコマで描かれているが、これは単にその風景をおぼえていてひとりでもといた場所にもどってくるという彼女の卓越した記憶力を伝える伏線として描かれているだけではない。それぞれのコマに描きこまれた「火の用心」「小児科」「止まれ」「車両通行止めの標識」が、この先に彼女を待ち受けるであろう「闇」の不穏さをじわじわと読者に暗示する。
▼今日マチ子はストーリーテラーとして優れているだけではなく、形式の面でも傑物である(漫画表現の新たなる道を切り拓かんとした傑作『mina-mo-no-gram』の方向でまた何かしら描いてほしいという願望がある
ひと晩明けて、今日マチ子『かみまち』下巻。せめてもの明るいおわりかたがありがたい。
安田佳澄『フールナイト』7-8巻。相変わらずおもちれーーーー。その場(これは「いま」読んでいる「わたし」も含めたものである)の情に左右されるような安易な落着を回避するアイヴィーとトーシロー(+ヨミコ)の問答、からの九大博士からヨミコに対するスパイ提案。漫画の巧さももちろんだが、物語のレイヤーのかさねかたもすばらしすぎる。ひとの生き死にのあっさりさは作品世界の命の価値と通ずるもので、そういう点も含めてとにかくうますぎる!!!!と読みすすめるたびに唸っていた。いったいどういう影響源のもとで漫画を描くように至ったのかが気になる(インタビューを読んだら松本大洋、ムヒョとロージーなどの名が挙がっていた)。作家本人も紙派ということで、過去作『電波青年』、どうか単行本化してくれないか。
チャリ。オイルを買いに行く。注油レクチャーも受け、油差すだけでこんなに乗り心地が変わるのか!というスイスイ具合で家に帰る。日焼け止め塗るのをサボった所為で両腕が赤くなり、妹に指摘される。
わんぷり20話。ユキまゆゴートゥーニコガーデン&パワーアップアイテム回。気づけばOPにユキまゆが追加されている! びっくりしている際のユキの瞳孔ちいさめ顔がかわいい。自己の境遇をユキの心情に重ねるまゆと、ひとりで苦しかったと語るキラリンアニマルに自己を投影するユキの対比がうつくしく、キラリンアニマルを助けようとするまゆが、かつてユキを助けたまゆと二重化して、ユキが協力の方に一歩あゆみをすすめる、という流れがいい。新プリキュア歓迎パーティの折、割ったクッキーのおおきい方をユキに渡すまゆの所作もエクセレント。台詞にされないこのようなディティールにキャラクターが光っている。
リコロイ。コノヨザル回。バトル曲(SVのテラスタル時の曲)のオーケストラアレンジがかっこいい。
グランベルム6-最終12話。6話。同じ鍋をつつくことで新月と九音との絆を深めていくのがいい。今話の白眉はEDを途中でぶった切ってアンナの母殺しのシーン(Cパート)をインサートする場面。そんな演出アリなのか!と衝撃を受けた。少なくともわたしははじめて観た。絵コンテ・演出は高島大輔。すでに先行例があるのかもしれないが、これだけでアニメ史に爪痕を残したと言えるのではないか。
7話のアンナも悔しさのあまり血涙を流していてヴィジュがきょうれつだった。アンナと新月の思い出が語られる特殊ED回でもある。8話はアンナにまつわる記憶が消滅回。9話は九音vs.水晶回。10話にて満月が人形であることが明かされ、満月にとっての新月がフリルにとってのアカおよびウラアカ的立ち位置(ねいる姉妹を比較対象にしてもよい)でなんだかワンダーエッグ感(こちらの方が古い作品である)が出てきたなと思った。11話は最終決戦前のキャンプ回。そういうノリなんだというゆるさがあった。花火でバイバイする演出は五十嵐大介『魔女』のなかの「I love you」を宙に描いて生き絶える少年の描写を思いだした。
12話ではニュータイプ演出+ファンネル的武装が登場し、ガンダム全開に。魔力なんてなくていい!と満月が自己の存在を否定するのが印象に残った。何よりここで一人原画回なのにびっくりした。担当は中西和也。最終13話。機体を捨てて生身でバトルするところまでガンダムである! 何より思念体登場後の、スイカバー+シロッコ顔で撃墜される水晶はやりすぎだろ!と思った。とはいえ、巷で言われているほど「台無し」だと思わず、たのしく観た。ラストバトルにOPが流れるのはやっぱりいい演出である。全体としては普通という感じ。
夜、ひき肉と茄子と玉ねぎのニンニクバジルヨーグルト炒め。うまい。
夜、鶏の唐揚げ、茄子と厚揚げの甘酢、マヨ胡椒レタス。うまい。