触れたい光芒、爪ひとつ

帰りに通りがかったダイナーのパーキングでも暮れゆく太陽と岸壁に衝突して飛沫を上げる荒波を浴びながらチル。同様のにんげんがたくさんおり、ときおり高い波に襲われては悲鳴を上げていた。わたしらが腰をかけた鉄柵は海風で湿気っていた。

藤沢までもどり、またも名店ビル、いろは丸にて乾杯。寿司で酒を飲めるうれしさ。たとえば高校の同級生なんかといっしょに遊べば会話の大半が思いで話に尽きてしまうのに対して、彼らといっしょにいると現在や未来の話しかでてこないということがいちにち過ごしてわかった。わたしは未来を生きていたいので、こちらのほうがずいぶん好もしい。会社を立ち上げるか?みたいな夢話も交えつつ、路上にで、コージーコーヒーコネクションでチャイを飲んでみたびのチル。駅からでるひと、駅へ向かうひとをながめながら、店の前に設置してあるベンチに座り、しばらく夜風にあたって夏のおわりを感覚する。Aの恋人にあいさつして、R宅に今日は宿泊。朝4時過ぎまで、Hさんの尖っていた頃の話や、Kさんの一悶着の話など、尽きぬ話をかさねた。

午前中にはすっきりめざめ、近所に住むNくんもさそって3人でランチ。同じバンドのメンバーとはいえ、会うのはかなりひさしぶりである。行列のできるつけ麺屋がちかくにあるので、そこに行こうと話していたがそれなりに並んでいるのを見、ベトナム料理屋へ。冷やし担々麺。うまし。Rが食べていたバインクオンという料理もおいしそうだった。のち、またもおしゃれなカフェでチャイ。わたしはコーヒーが飲めないが、チャイが大好き。オリジナルチャイ、つくろかな。これからしごとだというNくんと別れ、改札までRに見送ってもらって有楽町へ。

マルイでテクノライズ20周年展。大半の客は同時に掲げられたlain25周年を目途としてやってきているのであろうが、マイベストアニメの一本であるテクノライズがこのようにして日の目を見ていることが何よりもうれしく、原画や設定画などをじっくりを目に焼きつける。アパレルのグッズが大量にある割には試着室がないのがかなしかったが、グラフィックTを一着買って退店。購入特典のポストカードは見事に未視聴の作品ばかりで苦笑い。のち、東京駅に移動し、プリストでムビチケと20th記念缶に入った飴を購入。アニメないちにちである。



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新宿まで移動し、Kさんと乾杯。個展の最終日に来てくれたのだが、ほとんど話せなかったので会を設けてくれたのだった。社会の荒波に揉まれたあと、が全身からにじみでており、それが心地よかった。Mさんのかつやくをはじめとする、わたしのしらなかった大学時代の先輩たちの現在の話も聞け、刺激を受けた。しばらくすると出勤前のRもやってきてくれ、また杯をかさねた。会の冒頭、隣のテーブルに座ったカップルが頼んだものがいちいちこちらのテーブルにまずやってくる、みたいな状況があり、この店大丈夫か?と思ったが、梅水晶の盛りがけちくなくてよかった。

西荻に移動し、ライヴおわりのMくん、O、Yくんと韓国料理屋で合流。チヂミ、スンドゥブ、サムギョプサルとコリアの風を感じる。エゴマも数年ぶりに食し、あらためてすげー味だなと感動する。ライヴハウス界隈には性暴力に対するスタンスによって派閥のようなものができあがりつつあるみたいな話があり、東京、という感じがした。

のち、数十歩歩いて、撮影おわりのSさん、Tちゃん、Oさん、台本おわり(?)のHさんに合流。もうだいぶ飲み食いしているので一杯の酒ときゅうりとトマトでみなの話に聞き耳を立てている。ラース・フォン・トリアーの話をしたことをおぼえている。店内の手洗いに行く際、酔っ払いたちのあいだを通っていく必要があり、「うわー、すごーい」と髭に手をのばしてくる女がいる。ひとを舐めくさって絡んでくる酔っ払いは、たったひとつの例外なしに死んでほしいと思う。

家に帰ってQさんとNさんとも合流。Nさんの異常な記憶力に驚嘆しつつ、でえじパンパンおばあやっさで大爆笑する。どう考えてもひどい話だが、ひどい話はひとをかなしみだけでなく、わらいにも誘うのである。

Sさん、Qさんとさいごのランチ。Hさんおすすめのデカ盛りステーキ屋に行きたかったのだが、すでに売り切れということでフラれる。ということで、コロナ明け一食めでおなじみのちょもらんま酒場へ。油淋鶏定食をごはん大盛りで!と調子に乗ったオーダーをした所為で、いくら食べても減らないごはんに涙をのむこととなる(ぶじ完食する)。店員に髭をほめられる。こういう距離感で触れてくれ。改札で別れ、新宿のマークスアンドウェブで石鹸を買い、帰路に着く。売れなかった作品群が重たい。