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さいきんはよく蚊と格闘している。あまり俊敏でないのが多く、しかしわたしの視力もショボショボなのでいい勝負を日夜くりひろげている。

夜、ぺたんこハンバーグ、マスタードチーズソース。うまい。クローブナツメグ、シナモン、クミン、塩胡椒。ソースは豆乳でのばした。

ちょっとかわいいかも?と思ったインスタの広告で流れてきたブランド、コートもニットもシャツもだいたい価格帯がいっしょ+一着10000円前後でどうなってんだ?と訝しがりつつ調べたところ、アリエクにさらなる安価で出品されているとの情報を見てウーンとなる(自分でも調べたところ、いくつかの商品は出品されていた、これが「偽物」だったらいいがどうもちがうような、、)。インスタのハッシュタグを適当に打ちこんでいた(べつに単色でも淡色でもないもの含めてすべての投稿に「#単色コーデ」「#淡色コーデ」と付されていた)のがとどめとなって購買のきもちは消滅した。客をなめないでほしい。

コートが届く。部屋着の上に羽織ってもバチバチのカッコよさ(というのは言い過ぎか)。汚れ部分はほぼ目立たず、クリーニングにだせばどうにかなる気がする。心底ハッピーなきもち。しゃれこんででかける予定はひとつもありませんが、、また、ごていねいに値札までつけてきてくれたのだが、わたしのしっている値段よりも+10000ほど高い数字が印字されており、さらにおお、となる。わたしの所持している衣類のなかで断トツの定価である。

中村亮太『映画 ヒーリングっど♡プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』(2021)。デパプリ映画公開記念の限定配信で観る。何よりもアクション作画がひかっていた。とりわけ、強化エゴエゴ戦でのエフェクトバリバリのリミテッド感あるバトル(おそらく芳山優?)はかなりの見応え。5GoGoチームの登場によってもボルテージがブチ上がる序盤のスクランブル交差点での縦横無尽のアクションもソークールな仕上がりで、プリキュア映画のなかでもトップ3に入るバトルっぷりなのではないかと思った。最後の決め技を放つ前にドリームとグレースが手をつなぐ描写を入れるのもアツい。

自らの抱く夢を「ゆめアール(このアールはARやVRのR=Realityである)」として現実化できる「ゆめペンダント」と、それに呼応するハトキャで言う「心の花」的な「ゆめのつぼみ」をキーアイテムに本作が描くのは、母から子へのつよい想いである。我修院博士からカグヤへ、のどかママからのどかへと注がれる「愛」。かたちはちがえども、その想いのひたむきさは変わらない。差異があらわれるのは、子が望む夢のベクトルだ。病床に伏せっていた幼きのどかの夢は「美味しいものいっぱい食べられるようになって、いろんなところに行って、お友だちをつくりたい」と「未来」に向いているのに対して、カグヤの夢は「(我集院博士に)あの優しかった頃に戻ってほしい」と「過去」に向いている。そのねじれがいいアクセントとなって物語に起伏をつくっていた。母娘の絆というテーマ設定は、
newstage3で描かれた「過保護」にも似て、観客層にダイレクトに刺さる秀でたつくりだと思った。

ほか、誕生日パーティに母である我集院博士を誘うことを提案されたカグヤがおこなう手の芝居がめちゃくちゃよかった。もじもじした気恥ずかしさと抑えきれないうれしさがそのうごきのなかに流れていた。また、ゆめアールで現実化した国立競技場でちゆちーが走り高跳びをする場面、ほかのメンバーの応援台詞を受けて最後にあすみが「です!」とだけ言うのがツボった。やさしくたおやかな「DEATH」のひびき。プリキュア5をコラボ先に選んでいるからであろうが、「東京ガールズコレクション」というメインの視聴者層とはずれたイベントが劇中で展開されるのもおもしろかった。決着後の色とりどりの花が咲く花束の後景に瓦礫をのこしている背景美術にも唸った。

同時上映の短編である大塚隆史『映画 トロピカル~ジュ! プリキュア プチ とびこめ! コラボ・ダンスパーティ!』もつづけて流れたので観る。5分の尺につめこまれたハチャメチャな画面がたのしく、タイトルの「ダンスパーティ」を恒例のEDのダンスにつなげる構成にも唸る。

同一動画内にデパプリ映画公開記念のトロプリ・ヒープリ・スタプリ声優トークも収録されていて、それも観たわけだが、その噛みあわなさにわらってしまった。悠木碧のジメ感、えいたそのテンションの高さ、ファイルーズあいのちょけっぷり……。



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相米慎二『風花』(2000)。金沢に行った折、Oくんがすすめてくれた。本作のオープニングシーンがもっとも好きな1stシーンかもしれないと言っていた。ちかぢか配信終了の表示がでていたのでギリギリすべりこむことができた(しかしじっさいは配信終了しないユーネクスト、サイコーだよ!)。相米慎二の映画を観るのは、大学時代に長回しの一例として『ションベン・ライダー』の抜粋を講義で見せられたのをのぞけばはじめて。不祥事を起こしたアル中官僚の不能者が、これまた零落したピンサロ嬢のファム・ファタールと出会い、ともに回復に至るロード・ムービーであり、遺作である。最初のカットからして「映画」の質感がある、と思った。高所と低地を用いた画面設計、(時間や対人間の)「交通」の装置としての電車など、そのこしらえのいちいちがよい。旅の目的として設定される「雪」の登場をドラマチックにしないところもよく、その抑制が花吹雪→紙吹雪→吹雪と変奏される空から降ってくるもののきらめきをより際立たせていた。

中盤、北海道のジンギスカン屋(?)で繰り言をのたまう浅野忠信の酔いかたがひじょうに巧く、イヤな酔っ払いはこうやって同じ言葉ばかりをくりかえすんだよな、とわらって観ていた。「死」へと向かうことで意気投合したふたりが酔いから目を覚ますファーストシーンと、これから「生」へと向かっていくことを象徴的に伝える後半の山小屋での起床シーンの対比、ふたりの立ち位置が「逆」になっていることはもちろんだが、「コスる」という自涜の技術であり、客を射精に至らせる「プロ」の技術が蘇生のふるまいになっていることに深く感動した。ほか、冒頭、画面から立ち去ろうとする浅野忠信に向かって、履いていた靴を足にひっかけて飛ばし、見事命中させる小泉今日子の芝居がよかった。

夜、ささみとしいたけのトマト煮。オレガノ、バジル。うまい。