脱落鳥(ダートゲーム/ナイトゲーム)

湯船にザブン。疲労の蓄積を全身から感じる。からだに加えてリュックも手洗いし、たまった洗濯物を洗濯槽にぶちこんで洗濯機をガンガンにまわす。乾燥機もまわし、おわるのを待っているあいだにソファに腰を埋めて東京で観た映画のパンフを読む。ページをめくり、文字を読み、写真をながめる。目をひらくと、朝だった。ロールカーテンをあけようと布地をぐいと引っ張ると、壁との接合部ごと落下してきて、まわらないあたまが音を立ててぜつぼうした。つかれたからだはそれをもとに戻すことができず、起きてきた母親にあとを託してわたしは階段をのぼり、自室のベッドにたおれこんだ。

昼、ひき肉トマトズッキーニチーズトマト炒め。タコライスのタコミート的な? うまい。

デパプリ17話。ブレを戦闘作画の演出に用いていて、それがよかった(作監が6人もいた!)。助けあうプレシャスとブラぺの関係性もいい。男らしさ、女らしさといったジェンダーロールへの目配せがある。マリちゃん(にんげん)があまねにプリキュアになってほしいと頼むという展開は、シリーズを通してけっこうめずらしいことなのでは。

バイス42話。OP曲をバックにしたベイルとのクライマックス感のあるバトルによって幕が開け、終盤のムードをビリビリ感じる。

ドンブラ18話。タロウから一本取ることがストーリーをうごかす装置となっているが、他のメンバーによる討ち取り妄想のなかにあらわれるばかみたいにあかるいタロウにわらう。ファッションリーダー・ソノイさんにもウケる。

ワーク。コンペ用の応募準備もすすめる。戦争の所為か開催国へのEMSが停止していることをしり、たとえ通ったとしてもブツが届かない可能性がでかいのでは?と応募前からユーウツな気分になる。取らぬ狸の皮算用だいすき!

牧原亮太郎『ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン』1-最終5話。イッキ観する。同じ監督の『屍者の帝国』経由で公開前からメモっておいた作品で、モモとフィーネ、アレグロとフィーネ、フィーネとかつての恋人(?)、モモのおじさんとかつての恋人……と、とにかくこの監督は「関係性のオタク」的な物語の構造が大好きなのだなと思い、わたしはその範疇におさまる視聴者でないのでそこまでたのしんで観ることができなかった気がする。事前に「尺が足りない」という言表をよく見かけていたが、けっしてそんなことはなかった。足りないのはおまえのあたまである。省略することによってこそ、作中の「関係性」は尊さを帯びるのだ。

血縁関係からの自立がテーマのひとつになっているが、1話でベッドを覗きにくる母のコワさは呪縛の圧を感じさせるいいカットだった。とはいえ、台詞回しが「個」から発されているというよりも、「類」が発しているように聞こえてしまってしっくりこず、この話はキャラのでてくるタイミングだけでなんとかなってるのでは?などと観ていて思った。3話のあたまとおしりで展開される百合ロードムーヴィー的な演出はすばらしく、そこで楽/苦が対比されているのにも目を惹かれた。音楽を介してつながる尊さもベタだがいい。

夜、たまとまスープ、鶏舞茸の大葉にんにく醤油炒め、豚玉ねぎいんげんのすだち醤油炒め。うまい。玉ねぎにふわふわしたカビが生えており、はやくつかいきらなくてはいけない。

いちにちかけてエネルギーをためる。明日から激務をやるぞと決意する。激務は決意してやるようなものではない。否応なしにそうなってしまうのが激務である。だからこれは倒錯である。



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今橋愛『O脚の膝』を読む。好きなのだが、感情がぼんやりとした好きの位相にとどまってしまって、1冊を通して突き抜けてくる歌がそんなになかった。付箋を貼ったのは以下。

あらすじがみえないころのあなたとのせっくすきっとたからものです

こんにちは。
発音をしたくなったら
どうしたらいい?
.
いつあえますか

朝7時56分に乗れないで
あーあですます
やる気のなさです。

変換の有無、行替えの有無、句読点の有無。詩歌のなかでも主に「詩」というジャンルでたたかわれているポイントが、今橋の歌のなかではおおきな力点となっているように思った。たとえば「どうしたらいい?」と「いつあえますか」のあいだの空行、1行でおさめるのがベーシックな短歌において、劇的な効果を放っている。これが単なる1字アケであったならば、作品の魅力はだいぶ落ちてしまうだろう。引いた3作目の「あーあですます」は変換すれば「あーあで済ます」だが、漢字をひらくことによって「あーあ/ですます」という切り分けのリズムが生まれ、それが末尾の「です。」とのひびきあいをよりつよいものとして増長させている。そうした改行を用いた作品が多いなか、「あらすじが〜」の屹立ぶりが際立っていたのだった。ひらがなが醸すたどたどしさも効いている。ただそれが本のあたまからおしりまでつづくので、ちょっと胃もたれしてしまう感もあった。

夜、もやしのナムル、ちくわといんげんと豆腐の和風炒め。うまい。

ワーク。〆切に追われているわけではないが、すすめなくてはいけない案件が多く、渋滞を起こしている。すすみのよさそうなところからグングンやる。

スラヴォイ・ジジェクロベスピエール毛沢東』のロベスピエールの章をパラパラ読む。ルイ16世の処刑を要求するロベスピエールの演説として引用される以下の記述に付箋を貼る。

人民は法廷と同じやり方で裁きを下さない。人民は判決文を言い渡さない。人民は雷撃を放つのだ。人民は国王に有罪判決を申し渡さない。人民は国王を空無へ蹴落とすのだ。そしてこの正義が、まさしく法廷のそれに等しいのである。