この日を境に

堀禎一夏の娘たち ひめごと』(2017)。奇妙な映画である。ほぼ臨死の状態にある父の病室から映画ははじまるが、しばらくして通夜の場面、軒先で故人を偲ぶおやじふたりのもとに、親戚および友人(?)一同が続々と画面外から集まってき、8人ぐらいがひとつの画面内で「懐かしい」をあたためあうような談笑をおこなうシーンの長さやそもそもの絵面、そのやりとりの感じにかなりの特異さを感じる。これは、何度かあらわれるやたらガクガクするズームアップや、言いまちがい・言いよどみがそのままOKテイクにのこされているような台詞回し、カットとカットのあいだですさまじい断絶(決定的な出来事を描かない!)を起こすといった、さまざまな手法にも通じるものであり、ずいぶんヘンテコな映画があったもんだと興味深く観た。会話から察するに主人公らは30代前後で、兎にも角にもセックスをするが、時折10代のようなモラトリアム的青春(沢遊びの錯誤感!)が垣間見え、モラトリアムの崖、あるいはその崖の先での児戯(姉にフラれたあとの弟の子供っぽさ……、映画のラストにも「子供」の声が据え置かれている……、妊娠や死は匂わせられながらも、子供も「実体」としては画面内に存在しない!)という設計に、盛夏火のことを思いだしたりもした。

のちに結婚することとなる主人公とその幼馴染(映画内における初対面時にはそれとはわかっていない)が、旅館の娘と旅行客として客室でさいしょに相対するシーン、男が三味線を演奏しはじめ、女がそれに合わせて歌と舞をおこなうのもいったい何がここではおこなわれているんだ?!と衝撃だった。シーンに被さっている歌は、じつは母親である女将が歌っていて、台所に立ちつつ歌唱する女将という次のシーンへの遷移が見事だった。西荻の三傑(わたししかこのフレーズを言っていないが)のひとりであるSさんが熱狂的な堀禎一のファンであり、そのすすめあって観ることとなったのだが、これがSさんに流れている精神なのかとSさんの映画を思いかえして頷く自分もいた。

途中、ニャンのトイレで集中が切れる場面が何回かあり、劇場で観たかったなとも思った。

メタリックルージュ5-9話。おもちれー。うえのきみこ回はもちろんだが、7→8→9の物語の加速感がひじょうに高揚的で、観ることに決めてよかったなと思った。ここまで観て、たとえこの先で描かれるおわりがダメだったとしても(ダメにならないと思うが!)、本作は「いいアニメだ」という評価が自分のなかでかたまった。以下は各話でよかった/気になった点。5話、短いカットを連打し、ルジュの記憶・夢現のイマージュを通して彼女自身のバックグラウンドを語るナラティブ。6話、変装殺人鬼をキーマンにした密室船内キリングミステリーを、双子キャラクター(つづく7話でここがさらに裏返るのもよかった)を登場させることによってより一層ゆたかにする技法。ルジュの真偽を判断するためのナオミによる突発クイズ大会、さらには殴ってそれを耐えたやつが犯人だロジックを展開するルジュもサイコーだった。7話、「悪者」の対義語として発される「いいもの・いいもん」。8話、このタイミングでのインモータルナイン勢揃いのアツさ。9話、アニメータの自我全開のルジュとナオミのヌルヌル作画による会話と、合理的植民地主義(?)者である来訪者たちの思想とビジュ。

夜、鯖の塩焼き、唐揚げチリソース(惣菜)。うまい。

カメックスレイド、やろうと思っていたのにオンラインにした途端、眼前のテラスタルの結晶(?)が跡形もなく消え去り、捕獲の夢は破れた。こんなことならソロでやればよかった、、



ポケモンやる。勝てない。間を開けると選出もプレイングもわけがわからなくなる。平気でサーフゴーにアンコールを打ち、飛行テラスボルトロスにじんらいを打つようになる(うっかりにもほどがある)。

夜、チャーシュー新玉ねぎスープ、チャーシュー切り干し大根チーズ炒め。うまい。

制作物を詰めているときになりがちな採算度外視のはたらきかた、どうにかした方がいいのか。しかし、制作物の妥協はしたくないよな、、「時給換算」って便利だけど、意識すると心を壊してしまいそうである。

プリキュアの公式グッズにAI絵がつかわれているのでは?の疑惑、けっこうつらいきもちになる。この心のうごきは先の未来から見れば信じられないものになるのだろうか?

上記の件、いちにち経って、自分のなかでプリキュアはハネケと同じく倫理の作品なので、それが踏みにじられた感じがするから嫌なんだと理解した。そこに「プリキュアの美しい魂」はあるのか、ということである。これまでに積み上げてきた歴史を足蹴にし、躊躇なく破壊するような行為としてわたしの目には映っている。なぜこのような企画にGOサインがでたのだろうか。ついったでは東映アニメーションからそもそもの絵が販売会社に提供されたという文面を目にもした。しっかりしてくれ東映……。