沈んだ考えが浮かばれる日

Hさんからビデオ通話の着信。かなりエモーショナルな気分になる。「ようやく花開いた」。泣ける言葉である。ながらくいっしょに歩んできたからこそ感じられる重みがある。盛り上がりがひと段落したあたりでわたしのスマホの電池が切れてとうとつに通話はおわった。1時間足らず。

制作、グラフィック完成。出来には満足しているが投稿予定のSNSにおけるセンシティブセンサー(?)にひっかかるだろうか?というのが一抹の不安としてある。つくっている最中はそんなきもちが生じることはないのだが、いざパブリッシュせんとす!のときにはどうしてもセンサーシップがはたらくのだった。あまりしたくはないが、よりガイドラインがきびしそうないんすたのほうは性器に修正を入れてから投げることにする。エロ漫画家になった気分である。

同人誌のデザインまわりもだいたい完了する。空き時間にできるところはすすめておいたのが功を奏した。

夜、セロリとナスと豚のマスタードトマト炒め、卵とセロリの中華スープ。うまい。

どうやって「ここ」を防御するのか。むかし書いた詩の題を思いだしながら、そのような思考がはたらいている。

ヴィクトル・クバル『The Bloody Lady(原題『Krvavá pani』同じ意味である)』(1980)観る。かなり好きである。チャーミングで、残酷で、たのしくて、さびしい。城に住む心やさしき女が主人公としてあり、ある日でかけていった先の森で動物や植物たちと遊んでいると嵐がやってきて、雨にひどく濡れて風邪を引いた彼女を小屋で看病してくれるヒーローポジションの青年があらわれる。このふたりと、女の召使いであるヒッピー風のヴィラン男の三者が軸となって物語はすすむ。献身的な介抱に心を奪われた女は青年に文字通り「心」を捧げるのだが、そのことをきっかけに彼女の心根はまったくちがったものとなってしまい、タイトル通り「血塗られた」惨劇が描かれることとなる。

さて、惨劇といえども、レトロヨーロピアンな絵柄もキュートであるし、とにかくそのうごきがかわいい。アニメーションのスピードの緩急、その動作=アクションの選定、さらにはそのシチュエーションの設定のしかたに、それぞれ光るものがある。池から飛びでた魚と狐の息止めバトル、早食い&早痩せアクションうさぎ、それらを見て高速拍手する女と動物たち、暴れる女から逃げそびれた花を地下にひっこんだ仲間が根っこごと引っ張るシーン……。嵐の到来時には、それまですこぶるたのしそうだった女の衣服をビチョビチョのシオシオに描くことによってその感情を画面として表現する(本作は基本的に台詞なしで構成されている)。お見舞いに来た動物たちがそれぞれ披露する一芸も、そのサッドネスとは対照的に愉快だ。

うごきに宿るのはかわいさだけでなく、酒場に登場するカップルの、半分乳が服からはみでたような女の芝居にあらわれているように官能性もあり、青空を剣で切り取ったり、酒瓶を宙に浮かせたりなどのマジカルなユーモアも散見される。鏡と地下をもちいた2回あるモノクロシーンのうつくしさも特筆すべき詩情をはらんでいる。

そんな数々のシーンを彩る音楽もよく、軽快な笛の旋律から、あやしいパーカッションと呪術的なヴォイスまで、耳でもたのしんだ。作品の幕切れのしかたも、なかなか日本のアニメーション作品ではこうはおわらせないであろう「哀切」が含まれてあり、心惹かれた。ほかの作品も観てみたいし、ノルシュテインみたく日本で特集上映してくれないだろうかと思った。

夜、ひき肉茄子大豆玉ねぎ味噌チーズ、生ハムきゅうりチーズキャベツのサラダ、インスタント味噌汁。うまい。



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Apple Musicが一曲再生されるごとに止まるようになり、かなり不便。wifiを再接続しても、アプリケーションを再起動しても、デバイスを再起動してもなおらない。

ジャンナッツのティーバッグタイプのチャイ、薄くてあまりおいしくない。高い缶のやつを選べばよかったか。東京に行ったら茶葉とスパイスセットを買うことを決意する。

ラジオ。その場その場で話すことが生まれていく感じがあり、よかった。書くことが考えることになっていくのと同様に、話すことが考えることになっていくかたちをラジオでもじつげんすしたい。今回は聴衆0の時間が99.75%で、聴衆1の時間が0.25%あった。

ワークがなく、暇なのでアフターエフェクトの勉強をはじめる。どうやらわたしがメインの道具としてつかっているインデザインで組んだものをそのままうごすことはできないらしく、なんでだよ!となりながらチュートリアルをやっていく。タイムライン上で編集していくスタイルはかつて触ったプレミアの記憶がよみがえってくるが、なにひとつおぼえていないので実践的な役には立ってくれない。「慣れ」が存在するという経験値が、多少の気晴らしになってくれるのみである。チュートリアル完了後にはいろいろいじってクソダセー映像を完成させ、すぐに削除する。

夜、肉団子生姜スープ、豚鶏醤油ヨーグルトソース。うまい。とくにスープ。たっぷりの千切りの生姜、ウェイパー、塩胡椒でこねた肉団子、みりん、酒、味噌、醤油、ラー油、黒酢。肉団子になにかしらアクセントを加えて、いくつか野菜を足したらさらによくなりそう。パクチーとか、春菊とか、香りのつよいやつを。