殺傷のモーション

帰宅。祖母とニャンに挨拶し、洗濯機をまわす。シャワーを浴びる。そのうち夜勤に向かう妹が起きてきて、洗面所をつかっていいかと声をかけてくる。上がると、母も帰ってきている。カップ麺をすすり、パンを食べ、いくつかのちいさなワークをこなし、ベッドに身を横たえる。ニャンたちがいつまでもさわいでいる。窓外では雨の音がはげしい。つい数十分前に、傘を差しながらゴミを捨てに行くのは難儀だと思ったことを思いだす。駅から自宅までの道のりで、下校中の中学生に「こんにちは!」と大きな声をかけられたことを思いだす。不審者には自分から声をかけましょう。身を守るすべが、誰かを傷つけている。

寝つけず。起きると、身体がバキバキしている。ひきこもりがひさしぶりに遠出するとこうなる。わたしが寝ているあいだに済ませた朝食のあとの、すこやかなるひと眠りをするニャンたちの様子を見に来たこれから寝る妹に挨拶し、階下に降りて掃除と荷物の整理をする。主にゲットしてきたフライヤーの類を読んだり分けたりする。そうこうしているとヘルパーさんがやってくるので対応する。雨が降り続いている。冷凍うどんに卵とひき肉とヨーグルトを足して食べる。うまい。

ひろプリ19話。あげは&ツバサ掘り下げ回。OPにあげはがインしたうれしさ! ヘアスタイルがころころ変わるエルちゃんのかわいさ! 「かわいいものやたのしいことで自分を元気にする」という「アゲ」の定義は、トロプリの「トロピカってる」的ニュアンスがあり、いいなと思った。単なるノリで片づけずに、「言語化」をきちんとしてくれるのもプリキュアのよさである。今回はウイングとバタフライのみが戦闘に関わる回で、「ふたりは」性の新しい作劇・演出方針としておもしろく観ていた(駆けつける点々おめめのスカイ・プリズムもかわいかった)。冒頭の「あげは&ツバサ」と打ちこんでいていまさらながら気づいたのだが、異界からやってきたふたりはカタカナで、地球であろうソラシド市に住むふたりはひらがなと表記を分けている。この「異」同士がペアになっているのも、めちゃくちゃいいなと思う。こうした倫理が徹底してあるキッズアニメこそ、アニメの本懐である。EDキュアはキュアハート。

水魔21話。クワイエット・ゼロ発動回。ペトラが生きているよろこび! スレッタが自身の境遇を告白するシーン、天地の向きがバラバラであるトマトのカットがインサートされるが、その場のメンバーの団結とともに、つぎに画面に登場する際の画角ではすべて向きが揃っているというカットワークがよかった。ラウルの殺意がミオリネに向かうオチもサイコー。彼自身の心情をちゃんと追っていれば「わかる!」となるんだろうが、ぼんやりながめているわたしのような視聴者はわらうしかなかった。

夜、豆乳コーンスープ、鶏豚トマト豆腐のヨーグルトスパイス炒め煮、冷凍枝豆。うまい。クミン、カイエンペパー、にんにく。トマトはピクルスで酸味がある。トルコ風なお味。



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川名潤『出版とデザインの27時』読みおえる。おもしろい。ながくその業界ではたらいたひとの回顧文ってなんでこんなに惹きつけられるのだろう。これはアニメスタイルやFebriでインタビューを読んでいるときの感慨に似ている。ひとに刻まれた歴史が、言葉になることのおもしろさ。〈激務〉がつくる起伏もあり、それに関してはふくざつな感情を抱く。

上記の文を書いている最中、『』〈〉を打ちこむ際に気づいたのだが、記号を打つためにタップしてでてくる記号の種類ごとにまとめられた選択メニュー(なんて呼ぶんだ?)が、「以前使用したもの」から強制的に「絵文字」になるようになっており、地味なストレスが生じている。圧倒的改悪。

母親のけたたましい呼び声によって目が覚める。救急車!の声も飛ぶ。救急車を呼ぶ。住所を伝える際に、口からでてくる地名の順序もどもりもすごいことになって、まともに言葉を発することができない。階下に降りながらなんとか半分ぐらいまで伝えていると、わたしに電話しろといった母も電話をして住所を唱えていて、しどろもどろになりながら自分の通報のほうを中途でとじてもらう。前に呼んだときと同様、祖母は生あくびを連発していて、脳に酸素が足りていないことがわかる。対応中のわたしの所作が数回母の逆鱗に触れ、そのたびに怒られる。人命がかかっているので感情のたかぶりは仕方がない。懸命に考えてうごいているつもりでも、相手にそのように伝わらないことは多い。心労する。

ぶじだったという連絡を受け、食事を摂り、チャリの点検へでかける。今シーズン初のライド。往復たかが10数キロの距離だが、走りおえたあとはしっかり全身が痛い。明日それなりに長い距離を走るつもりなのでビビっている。何より熊が怖すぎる。出没情報がバンバンでている地域を走ることになる。捕食の時間帯である夕方までに帰るよをじつげんしなくてはならない。みじかい距離ながらもライド自体はたのしかった。しばらく乗っていなかったことによる体力の低下も感じた。今年は昨年よりももりもり走りたい。

スマホを見ると、ひどくハードな長文が届いている。ほかにもかえさないといけない、送らないといけない連絡が複数ある。同様に、いくつかのワークが目の前には積まれている。到着しない原稿と、それに関連した迫りくる〆切もある。個展の準備もいよいよすすめないとまずい。とつぜんの圧倒的キャパオーバー。もうおわりだ、のきもちになってソファに沈みこむ。

夜、豚もやし。豆板醤・片栗粉・ぽん酢・醤油・酒でタレ。うまい。

かんたんな連絡からポンポン送っていき、抱えている荷物を減らしていく。心的プレッシャーになっている先々の予算組やらスケジュールやらも再計算してすこやかさの回復を図る。