ガゼル、泣いてる

夜、ほうれん草と鶏もものにんにく醤油炒め、長ネギとトマトのチリスープ。

ムージル『三人の女/黒つぐみ』に手をつける。まだ数頁しか読んでいないが好きな文体。読みすすめるのがたのしみ。

岸田賞の選考委員に支払われる選評の原稿料こみの賃金が5万円というのを読み、マジで夢がないなと思った。ボランティアだよ。エクス・リブリス買うし、白水Uブックスも買うし、なんなら文庫クセジュもチラ見するから、白水社はそのぶん彼ら彼女らへのこころづもりを上乗せしてくれよと思った。

夢のなかにうさぎがでた。うさぎがいる、とわたしを呼ぶ祖母にしたがって、二階の窓から家の敷地を見下ろすと、黒ずんだ藁で築かれたサークルがあり、そのなかに数匹のうさぎと卵がたたずんでいた。うさぎは一羽二羽と数えるが、卵は産まないだろう、と思ったところで目が覚めた。

ブラウザの端でずっと文字列がうごきつづけている設計のウェブサイトがあり、さいあくなデザインだと思った。メインの文章を読んでいる際にもちらちらとこちらの意識を奪い、おまえ(設計者)は本を読んでいる最中に柱がうごきつづけていても内容に集中できるのか!!!!とちょっとずれたツッコミがあたまのなかに浮かんだ。ニコニコ動画的意匠ということか。

チョン・イヒョン『優しい暴力の時代』を読みおえる。ブログを遡ると、買ったのは去年の9月だった。

今は、親切な優しい表情で傷つけあう人々の時代であるらしい。
礼儀正しく握手をするために手を握って離すと、掌が刃ですっと切られている。

「作家のことば」からの引用だが、本書の遊び紙として採用されているキャピタルラップ系の用紙がこれを迂遠的かつ触覚的に体現していて、あらためて装幀を担当した佐々木暁のすごさを思いしるのだった。巻頭巻末ともに2枚の分量が割り当てられ、つるつるしたほうを内側に、ざらざらするほうを外側に設計している。紙同士が触れあう面は摩擦なくその身をかさねあわせるが、その裏ではちいさなでこぼこした起伏がいちめんを覆っている。優しい顔の奥には、傷ついた身体が横たわっている。感服である。

訳者の解説を読むと、わたしの「アンナ」読解とは解釈が異なっていて、それもまたよかった。


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だすかだすまいか迷っていたコンペの〆切がのびており、考える時間が増えた。よろこぶが、こうやってすべてを先のばしにしてきた結果がいまのわたしである。現在もさまざまな書類の類を放置しているが、あとで痛い目を見るのはすでに目に見えている。目見えのお目見え。

鉢植えのハダニはだいぶ殲滅できたが、まだ生き残りがいる。時差式で水浴びをさせる計画。

夜、豚バラ人参ピーマンの炒めもの。砂糖・生姜・塩胡椒・カイエンペパー・黒酢・醤油・鶏がらスープの素をてきとうに入れて味をつける。わたしはあまり自分のつくる料理に砂糖をつかわないが、たまに用いるといい具合になることが多い。てりとコクがでる。

かつての自身のろくでもなさを、これから先幾度反芻すればその負性は解消されるのか?