口頭テクニック

よくねむる。野菜をたくさん買いに行く。今日は料理をしなかった。冷奴だけつくる。胡麻油醤油鰹節。食後にタルトタタンをつくる。料理をした。明日の来客にそなえてのものだ。母の友人で、わたしも幼少期から顔なじみのNちゃんがくる。自分より20いくつほど上のひとに「ちゃん」をつけるのもどうかと思うが、これはもう雛鳥のすりこみのようなもので、その付随を避けることはできない。りんごに根気よく火を通していく。明日は柿とチーズのピザと、包子と、シェントウジャンをつくる。強力粉をつかうのはいつぞやの屋台でうどんをだした以来かもしれない。娘もくるらしい。それこそ何年ぶりか? 高校生くらいか? 卒業したのか?

家族がだす年賀状をつくるための素材あつめ。会社勤めをしているあいだ、いちばんの若手がこの作業を担当すると入社した年に引き継がれて以来、退社するまで毎年その役割をわたしが担っていた。文面を考え、絵柄面のデザインを考え、それらと同時に宛名を印刷するためのデータ挿入&整形作業があり、それがおわっても印刷の作業もあり、なおかつ通常の業務もあり、と永遠とも思える、それこそ休日出勤してまで印刷の倍率調整をしてハガキをなんどもプリンタからだしいれしている際など、おれはいったいなにを……というきもちになり、年末になるたびにずいぶんと気が滅入ったものだった。そもそもわたしは「年賀状」という文化がきらいなのだ。子供のころから送られてきた年賀状に対して返事を返さずにいたクソガキだったので、いまではわたしのもとに送られてくるものはほぼ皆無だが、そんななか返事がこないことをしっていながらも毎年送ってくれるひとがいて、それは年始のたのしみになっている。年賀状のやりとりはきらいだが、手紙をもらうこと自体は好きなのである。しごとも辞めたし、のびのび自分でつくれるし、今年は返してみようか?などと思っている。

5時ころからピザ生地兼包子の生地をこねはじめる。はたしてうまくいくだろうか。発酵中、肉まんのタネと、シェントウジャンのしこみもする。ボウルのなかでパンパンにふくらむ。掃除をし、しばし仮眠。


f:id:seimeikatsudou:20201201003216p:plain
233


お昼まえに叩き起こされ、蒸すなり焼くなりする。シェントウジャンがいちばんの出来。つくったことがあるからだ。包子もピザもおいしいことにはおいしいが、まだやりようがあるとおもった。小説といっしょで、料理も完成のたびに技術の向上やコツをつかむことができるようになる。しばし歓談し、わたしはねむりに落ちる。わたしよりもまだ若い男の子が、「残業しなくていいからね」という上司の言葉そのままに定時で帰宅していたら翌日呼びだされて怒られ、その挙げ句納得できずに退職したという話や、かならず定時に帰る息子の話などを聞くに、クソのような世のなかもよりよい方向に向かっているはずだという思いをつよくする。

不充分な睡眠の途中、いとこからの連絡をなにシカトしてんだよと妹に起こされ、返信する。