許されるかぎり長いあいだ眠っていたい

hot chipとツアーをまわり、そのまま日本にも来てくれよと思っていたがそんなことは起こらず、だがしかしそのヴォーカルであるアレクシスとコラボした先行シングル「Luxe」がとてもよくて、聴いてからずっとアルバムの発売をたのしみにしていたholy fuckの新譜がそこまでピンとこず、とはいえライヴはまた体験したく、来日しそうな気配があるのがうれしい、ふたたびwww xでやってくれないかなと思っている、あの箱はかくべつに音がいいんだ。

アンジェイ・ズラウスキー『ポゼッション』、ひさびさに打ちのめされる映画体験だった。唐突さの連続といった話の展開、編集がぐいぐいとこちらを巻きこみ、そのうえスクリーンに映るのは容赦ないテンションの炸裂ばかりで、映画的快楽の彼方へと精神をもっていかれる。ごく単純化していえば、狂気によって分断される夫婦の話だが、その狂い方が尋常ではない。鑑賞中は興奮しっぱなしで、そのイカれ具合にわらいさえこみあげ、観おえて家に帰るまでも、帰ってからも、翌日も、いまに至るまでもとにかくすばらしい映画だったなあという感慨がのこりつづけている。あのようなおんなのひとに人生をめちゃくちゃにされたいという欲望がわたしのうちに見つかる。破滅ってなんでこんなに美しいんだ。すべてはずたぼろに傷ついて、取り返しのつかないおわりを迎えてしまう。文句なしに生涯ベスト10入りだ。ほかの作品も観てみたいと思う。

さいきんはちょっとはやめに就寝し、夜中に起きてそのまましばらく本やスマホをちょろちょろして明け方にまたねむる生活をしている。明らかにアルコールによってつくりだされた生活リズムで、もっと有意義に時間を使えというわたしと、意義なんてしるかくそくらえというわたしがぴょんぴょこ耳のうしろあたりで跳ねまわっている。

今月はわりとはやめに通信制限に突入しており、インターネットにまつわるすべてがわずらわしい。今年はわずらわしくない生活がしたい。よりよい生活の成立。いったい何をもって?


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ハマスホイ、展示はそれなりな感じであったがグッズが目白押しでたのしいきもちで会場をでた、ハネケの影響元ということで観に行ったのだった


日本近代文学館にて「詩のありかに触れるささやかな試み」。はじめてゆく場所だが、建物のある駒場公園の入口までは行ったことがあると同じ場所に立つことで思いだした。そのときはすでに門が閉まっており、入園すらできなかった。いつだったのかもおぼろげである。わたしはこうした人気のない展示施設が大好きで、ついつい長居してしまうのだが、そのために一階のカフェに立ち寄ることができなかった。橋、海、空といった語のもとに選ばれた詩人/詩作品のならぶちいさな展示室を、いくつもの詩が印字された本を携えながら、ゆっくりとめぐっていく贅沢な時間だった。

向かう途中、目のまえでおばあちゃんがたおれた。電動自転車にまたがったまま、左半身を下敷きにして、車道に投げだされた。ほんとうにすぐそばだったので、大丈夫ですかと声をかけ、たおれた自転車を起こそうとするのだが思っていたよりも数倍重く、力を入れなおしてやっとのことひっぱり起こす。「むりなことはするもんじゃないねえ」とひざをさすりながらつぶやくおばあちゃんにまた大丈夫ですかと声をかけ、意識もあるし、立ちあがっているので、気をつけてくださいねといいおいて立ち去る。はせまるさんが同じように下北沢で自転車を起こした話を思いだし、得を積んだきもちになる。