西尾大介『ふたりはプリキュア』(2004)42-最終49話。プリキュアの日から観はじめたので、約4ヶ月かかって完走したことになる。これが原点なのだなと感慨深くなる。クオリティの高い回がバンバンでてくる中盤までに比べ、終盤にちょっと物足りなさを感じたが、総じておもしろく観た。何よりMax Heartという続編があるので、ふりかえるのはまだはやい?
42話、自身の所属する組織ドツクゾーンでも、直属のボスであるジャアクキングでもなく、「我々自身のため」にたたかうことを決意する三幹部。これは今話のラストで「いちばん大事なものは?」という問いに対し「自分」という解を最終的にみちびきだすなぎさと同じ結論である。対立するもの同士が、同じことを考えている構造はアツい。戦闘シーンにも気合が入っており、ダイナミックなくずし作画(おそらく山田起生担当?)や、ホワイトの天井着地、OPでおなじみの爆風吹っ飛びカットの登場などをたのしんだ。戦闘前、なぎさとほのかが公園のベンチにたたずむシーンを照らす夕陽の光もきょうれつ(だからこそ、のちに登場する「闇」が強調される!)で、28話を思いだしたが、今回の演出にも西尾の名がクレジットされていた(後年フレプリとハグプリでSDを務める座古明史との2人体制)。光演出でいうと、ホワイトを闇の世界から救いだしたブラックが「光」のほうに立っているカットがとりわけ美しかった(変身後にも関わらず、名前呼びなところにもしびれる)。今話からなぎほの含め生徒たちの服装が冬服にチェンジするのも見どころ。変身バンクでも格好を変えるのは凝っているよなとあらためて思う。
43話、校舎の出入り口、上履きのままなぎさを追いかけるほのかのよさ。それを天からとらえた構図もすばらしい。下駄箱はなぎさとほのかが決裂する8話でも鍵となる舞台であり、その再演のようなかたちで志穂と莉奈が対立する33話でも決定的な場所となっている。学校という空間において、彼岸と此岸に線を引く分水嶺が下駄箱なのだ。自分と同じく藤P先輩に好意を寄せる同級生を、友人だからと応援するなぎさは、18話でのキリヤくんとほのかの関係も相まって胸が痛む。夜を明かして書いた意中のひとへの手紙の文面と、一言一句同じ言葉を友人に先に言われてしまうというぜつぼう。苛烈だ。
44話、クリスマス回。体育館でおこなわれているクリスマスパーティシーンで意味深に複数回インサートされる校門から時計台へのズームアップカットが印象的。その不穏さを踏まえてやってくる三幹部リーダー・ベルゼイが、開口一番「メリークリスマス」とのたまうのがウケる。何より今話の目玉はキリヤくん再登場だが、藤P先輩の「これって木俣のおじいさんのところへ手伝いに行ったメンバーじゃない?」+木俣「1人だけ足りないけどね」が、冒頭のポルンの「(クリスマスに)やってくるのは(おじいさんでなく)子供ポポ」も相まって「え、まさか」の期待を煽るいい台詞としてさくれつしていた。
45話、合唱コン回。課題曲が本作のED曲「ゲッチュウ! らぶらぶぅ?!」になるメタ感。ソロパート入り前のカノン進行アレンジもすばらしく、戦闘BGMが合唱なのも見どころ。青山一人原画回でもある。
46話、いよいよムードも最終盤。なぎさとほのかが戦地へと赴く際、これまでのたのしかった思いでが回想される展開はエモーショナルだった。挿入歌「⭐︎SHINING STAR⭐︎」をバックに変身するのもアツい。敵の本拠地である三幹部の館と駆けだしておわる構成も、1話完結主体の本作にはめずらしいつくり。
47話、いよいよドツクゾーンの世界へと旅立たんとする場面、それぞれの家(族)のカットを差し入れる心憎さ。そこにはいないなぎさとほのかが、いる体で家族の会話が為されるのもよい。前話に引き続き、今回も連続性を意識したおわりかたで、キリヤくんがホワイト&ブラックを救ってEND。
48話、これまで幾度となく放たれてきたマーブルスクリューも、ラストバトルということで声音の迫力がちがってくる。反旗を翻していた三幹部もとうとうジャアクキングに吸収され、戦地もドツクゾーンからなぎさとほのかの住む虹の園(人間世界)へ、というところで終幕。ダンバインの「浮上」的なおもしろさがある。
最終49話、いきなりレインボーストーム→効かない→OPの起き上がりカットという血湧き肉躍るとんでもないはじまり。登場からずっと「子供」として描かれてきたポルンの成長が、プリキュアたちのさいごのパワーアップにつながる展開もグッとくる。OP曲レインボーストームで決着をつけるのもサイコーにアツく、ここぞとばかりに踏ん張りと手にぎりを反復強調する演出もゲキアツである。ラストバトルがおわり、ほのかの家の縁側で永遠のねむりにつこうとするミップルメップルを見つめるなぎさとほのかの瞳が不気味なのがウケた。ハイライト過多。最初にも少し触れたが、続編があることもあってか、単体としてはあまりいいおわりかたとは思えなかった。だから余韻にも浸ることなく、MHの1話もつづけて観たのだった。
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