大便の代弁を許すな

テレ東のe-battle of、このところ観ているがおもしろい。バンビーvs.インゲンのアツさは竜王戦の決勝戦並にうおおとテンションがアガった。内容よし、解説よし、反応よしのポケモンバトル入門にぴったりの回なのではないか(とはいえ「ガチ」なので、もこうの実況の方が入りやすいとは思うけれども


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わたしはふぁぼ機能を使用せずについったを利用しているので大した影響はないのだが、他者のいいねが見えなくなるのはけっこうおおごとのようで、たくさんの嘆きを見た。

そんなことよりアナリティクスが見れなくなっている方がふざけんなである(しらべたらすぐに見れるようになった、ありがとうインターネットの向こう側のひとたち。



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若林信『ワンダーエッグ・プライオリティ』(2021)1-最終12話+特別編。イッキ観する。自殺した友人を救うために、卵を割ってげんじつとは異なる世界にダイブし、たたかいに身を投じていく少女たちの物語。おもしろかった。個々の回のクオリティがめちゃくちゃに高い。全体で見たときの完成度、となるとその幕切れのありかたに賛否は分かれそうではあるが、わたしは肯定派である。おわりよければすべてよし、のロジックはよくわかるが、おわりだめならすべてだめ、とはならない。オールタイムベスト10入りはしないが、20位以内には入ってくるくらいには好き。

1話。まず目を惹くのは芝居=モーションのトロさである。主人公であるアイちゃんのキャラクターがそこにあると同時に、FLCL的な外連味のあるバトルアクションとの対比が光っている。対比でいえば、「リアル」志向の背景と、電脳世界(?)的敵性存在のギャップもおもしろい。げんじつと夢(?)というふたつの世界がここにはある、ということが物語以外でも視聴者に示されている。ひとつのたたかいを通してどういう話・キャラクター・世界観なのかを語る構成も好み。説明が目的化していないのでたのしく引きこんでくれる。

2話。ねいる回。1話でもそうだったが、ドアの表象が気になる。チェンソーマンでもドアはおおきなモチーフとして使用されているが、その影響元であるドロヘドロの元はなんなのだろう、と観ながら思惟がのびていった。チャイムの響きによって戦闘開始と終了を告げる演出はウテナを感じた。ワンダーキラーとの戦闘時、バチバチにやりあう前に、モタモタとした間の抜けたアクションがはさまるのもいい(「先生、さようなら!」の劇的さ)。少年少女が命を賭す物語に、すでに死んでいるその場限りの友だちという要素が組み合わさることのドラマティックさがかなり自分の嗜好に刺さっている。ジュースという中学生らしいプロップを通して、同じものを嗅ぎ、見、飲むことでアイとねいるが友だちになっていく、という演出が冴えていた。担当は山崎雄太。

3話。リカちゃん回。こうやって各話新キャラがでてくる話のすすめかたがいい。作中にでてくる「家族の正しくなさ」の話をアストロノオト/ガルクラの感想で書いたことがあったが、本作においてもそれは同様で、家庭環境のわるさがキャラ造形のつよい彫刻刀としてふるわれているように思った。リカが自身の救いたい友だちについてごまかしわらいをしながら話すのに対し、アイが真面目に応答することでふたりのあいだに絆が生まれていく、というナラティブは2話でのアイ・ねいるのシーンとも通じあうもので、グッときた。

4話。モモ回。1話から描かれていることだが、バトルシーンでの主人公の声音のギアチェンジ(「トサカに来たぜ!」)がいいとあらためて思った(二面性=ふたつの世界の表象でもある)。声音が変わるのはアイちゃんだけだが各キャラに決め台詞(ねいるの「度肝を抜いてあげる」がお気に入り)があり、ロボットアニメで技の名前を叫ぶようなたのしさがある。お約束の美学。「メスには旬の時期があるんだ!」という痴漢ワンダーキラーの台詞がウケる。いわゆるトラウマがワンダーキラー=敵としてあらわれるわけで、そこにきょうれつなミソジニーを配するのは少女たちの物語である本作の理に叶っている。自分が男の子に見られてしまうことに抵抗を感じているモモが、初対面時に「女の子」としてみとめられることでアイと出会う、というのは今話での主人公とのむすばれかた。アイはバトル外においてもそれぞれのキャラクターのトラウマ(?)を解消する(ねいる-友だち、リカ-ちえみ、モモ-見た目)。今後つらい展開が訪れることの前触れとしか思えない4人揃ってのたのしげなシーンが痛ましい。

5話。ねいる回。先にチャイムの話をしたが、キャラによって花火や電車といったべつのモチーフをつかっているんだな、といまさらながら思った。救いたい対象である妹が橋から飛び降り自殺したことを語るねいるが、その話をしながら「(卵を買いに行くために)靴を履く」というアクションをしているのがいい。飛び降り自殺者にとっての靴とは飛び降りる地点に遺される遺物であり、ここには生と死の(さらには姉と妹の)対比が描かれている。

夜、ポークチャップ、イカフライ(惣菜)、イカ炒め(惣菜)。うまい。