肢位

在廊後は店主であるKさんに誘われ、最寄り駅に移動して以前にも連れてきてもらったことのあるシャレオツなバーで飲酒。カバランをいただいたのち、アニス酒が好きなんですが、とバーテンダーに相談すると「ペロケ」というカクテルがあるということでつくってもらう。ペルノの水割りにミントリキュールの入ったもの。うまい。見た目も白濁したミントグリーンで、涼やかだ。また飲みたい。映画の話などをし、帰宅。おにぎりを食べ、シャワーを浴び、寝る。

グレタ・ガーウィグ『バービー』。おもしろい。キングダムエクソダスにつづき「おもしろい」映画。好きとかいいではなく。好きで言えば前作・若草物語のほうがだんぜん好きである。揶揄とフェミニズムの合体、しかしエクストリームさは感じず、あくまで「お行儀のよい」ダートバッグレフト(語義矛盾)のような? そうした題材をエンタメ全開でくるんでしまうところに作家のすごみがある。ホップ(レディバード)、ステップ(若草物語)、ジャンプ(本作)の跳躍がすごい。本作を観て、ナルニア国物語のリブートもきっと成功するだろうと思った。


▼ダートバッグレフトについて触れた記事
seimeikatsudou.hatenablog.com


百日紅で淡麗塩つけ麺。あまりおいしくない。ほかのつけ麺はおいしかった記憶があるのでメニューの選択をミスった。

模索舎IRAにDMを置いてもらう。前者では小泉義之、後者では廣瀬純の本を買う。アンダークラスの視座から撃て!である。


▼今回の個展にしても、源流をたどっていけばこの対談を通過するのはまちがいない
jimmin.com


のち、KEN NAKAHASHIにて森栄喜「ネズミたちの寝言」展。ハンドアウトのコンセプト文を読んでいると高島鈴『布団の中から蜂起せよ』がどうしても想起された。ステートメント自体は「蜂起」をテーマとしているわたしの展示とも通ずるものがあるとも思ったが、アプローチがかなりちがうので観客からしてみたらまったくそうは思わないだろう(これは先の記事でも触れたOの発言における内省的/外部的な態度の差異とも読むことができるかもしれない)。音声作品を用いて空間的に場をつくれるのはめちゃくちゃいいなと思う。バーでそれをじつげんするにはどうするか?

宮﨑駿『君たちはどう生きるか』。あまり好きではなかった。暗いよな。おれは駿だとポニョが好きなんだ。『王と鳥』(読んだことも観たこともないが、要するに中世ヨーロッパ的冒険活劇だろ?みたいなざつな認識)をもとにしたファンタジーものだみたいな口コミを目にしていたのに、いきなり「戦時中の日本」みたいな風景からはじまっていくのでまずそこでがっかりしたのはある、おれは『風立ちぬ』がいまいちわからなかったにんげんなので、、いやでも『火垂るの墓』は好きだが、、しかし冒頭の火のアニメーションはこれまでのジブリには見られなかったような作画を感じ、かなり惹かれて釘づけになった、リミナルスペースのような場所がでてくるのはおもしろかった。

在廊。K、Iくん、Y、Kさん、O、Aさん、Tさん、Hさんが来てくれ、いっときはわたしが立ち見状態になるほどの盛況ぶりだった。店自体のお客さんをのぞけばおおまかに3グループがその場にあるという感じだったので、一個前の記事で話したような話から、各作品の一言コメントみたいなことまで、ずっとペラペラ話しつづけていた気がする。やるぞ!の声を近年耳にしていたネットラジオをとうとうはじめたKとIくんの話もアツかった。〈友人がものをつくっている〉というはげましは代えがたいものがある。

のち、大学時代の同窓であるK、Iくん、Yと二次会(?)。終電の時間が迫っていたので軽く一杯飲んで解散。帰り際にKが入れ替わりに店に入っていくウエストランド井口を見たと言っていた。こんな安居酒屋にM-1チャンピオンが?!

Qさんの起床にあわせて起床する。今回の滞在では酒を飲み交わすどころかあまりおしゃべりする時間もなかったが、本や展示などについてしばらく談笑。鬼のような陽射しのなかを駅までいっしょにバスで向かって、改札の前で別れる。しかしわたしは改札のなかではなくトイレへと向かう。今日はDMを置いてもらうべく街をまわり、そのまま帰郷の予定である。



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まずはユトレヒトへ。ひと通り店内をめぐり、ルース・ファン・ビークの新刊と五木田智央のドローイングブックを買う。もう何年も前に個展のフライヤーを置いてもらえませんかと来訪したときはかなりつよめの対応を受けたおぼえがあるのだが、今回は快く受け取ってもらえた。ありがたい。

昼食はパルコの田中そば店。いつ食べてもうまい。わたしがうまいと思うラーメンの高水準な地点に田中そば店は位置している。加齢によってしらない店を積極的に選んで開拓する熱意は減少傾向にあるとはいえ、その欲望を打ち消すほどのうまさがある。

地上にで、hmvbooksにでも寄っていくかと歩いていると、knt365のポップアップストアが開店している!のですかさず入店し、自分のぶんと妹へのお土産にバッグをふたつ購入。いんすたか何かで見かけて以来、いつか買おうと思っていたのであった。実店舗をもたず、なおかつ絵柄の種類が多いのでどれにしようかなのマインドがずっとあり、こうしてじっさいに手にとれ、ラインナップも限定されているとなると購買の意欲がマシマシである。

hmvbooksでは阿部卓也『杉浦康平と写植の時代』、酢豚ゆうき『月出づる街の人々』1巻を購入。のち、ヒカリエで家への土産を買う。

つぎにナディッフアパートへ。ユトレヒトにつづいて五木田智央の図録を購入。かつて足をはこんだオペラシティでのもの。ビニールで包装されていたが、展示を観た際の「よかった」という実感があったので躊躇なく手をのばせた。DMもフランクに受け取ってもらえた。べつになにをしたというわけでもないのに、こうやってDMを介して好きなお店と接点ができるのはうれしいことである。

本でおもたくなった紙袋をにぎりしめつつ、新幹線でビュンと帰宅。ニャンたちはもう遠出に慣れてしまったのか、部屋に入っても寄ってきてくれることはなかった。食事、シャワー、洗濯を済ませ爆睡。