きみを見つめる目の数のなかのぼく

他者の生がなければ自己の生など規定できない。他人のブログを読んでいて思った。行ったことのない場所に住む、名前もしらないひとの、酔っ払ったまま自転車で駐車場を走っているブレた写真を見て、ひどく心をうごかされた。

昨日Hに聞いた話は重石のようにわたしの心に居座っている。このような荷物をどれだけ自身に積めるか、しまっておけるかが、生むものの重さを左右するのだと思った。

夜、もやしのナムル、豚舞茸玉ねぎ油揚げの炒め煮。うまい。めずらしく妹と食事のタイミングがいっしょとなり、彼女の好きなアイドルがアニソン曲当てクイズをしている動画の音声だけを聴いて「デジモンじゃん」などと口を挟んだりする。妹は世代ではないので「butter-fly」をしらなかった。

保険料を支払いに最寄りのコンビニにゆくと、なんとプリキュアウエハースが入荷している!!! 迷わず箱にのこっていた在庫をぜんぶ(と言ってもたかだか4つ、つまりは売れている証拠! 頼むから今後も入荷してくれ!)ひっつかみ、いっしょに支払う。振り込み期限日は明日までだと思っていたので、たるいたるいとチャリを漕いでいったのだが、そのたるさが一気に吹き飛ぶよろこびがあった。ひとまずいちまい開封する。颯爽登場! シャイニールミナス

セルフブリーチ。オレンジになる。生え際や後頭部にムラができるが、フェードにするつもりなのでまあいいかのきもち。

夜から翌昼までよくはたらく。休憩時に開けたカルディのルーローハンの缶詰、大外れの味。ウーシャンフェンを振って食べる。また、魚介と野菜のおだしラーメン、パッケージからはあまり期待していなかったのだが、意外とおいしかった。かつおしお味。イトメン株式会社。

荷造りもすすめる。と言っても、着替えと携える文庫本の選定くらいだが。2泊分は先に予約を淹れ、何日まで滞在するかを向こうで決める博打スタイルででかける。こういうゆるさでうごけることのよろこび。

松本俊夫ジョナス・メカス鈴木志郎康。わたしの卒論の核となったにんげんはみな死んでしまった(ほかに登場するブランショバシュラールパゾリーニタルコフスキーなどは執筆当時すでに死んでいた)。死者たちのあつみの上に、わたしは横たわっている。

夜、鶏筍椎茸玉ねぎの炒め煮、味噌味。うまい。

夕から朝までよくはたらく。休憩時にプリキュアウエハースを開封する。キュアプレシャス、キュアヤムヤム、キュアホワイト。何が当たってもうれしいが、どれも試聴済み(中)キュアなのでよりうれしい。ワークもぶじ完了させ、ねむたくはあるがこれでぶじ金沢に向けて出発できる。あたまにバリカンを入れるが最大10mmのアタッチメントではさすがにむりがあった。そんなときもある。

朝、豚エリンギピーマンのチーズハリッサ炒め。うまい。



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金沢へ向けて出発。平日だというのに電車は混んでいた。夏休みももうおわったろうに、車内にはなぜか子供たちのすがたが目立っていた。遠足にでも行くのだろうか。改札を抜け、バスターミナルまで行くと、ちょうどスーツを着た男が窓口に問合せをするところで、わたしもその後ろに立って待っていると、もう一方の窓口に座る女と目があって、無言のコミュニケーションがはじまろうとする。一歩踏みだして何か言葉を口にだそうとするが、スーツ男が問い合わせている内容がわたしのしりたい内容と完全に一致しており、これまた無言の身ぶりで「大丈夫です」と伝えて後ずさりした。このようにして4人のにんげんがコミュニケーションできることを、わたしはおもしろく思う。バスのなかではミシェル・ウエルベック『地図と領土』をひらくも、眠気がぐわぐわしはじめたので後半は走行する車体にゆられながら目をつむっていた。

新潟に来るのは大学時代に『沖縄/大和』という映画の撮影協力として来訪した以来で、その折駅も通ったはずだがその風景はまったく記憶になく(カメラを回しながら改札を通過した所為で新幹線の切符を取り忘れてしまった思いでだけ残っている、到着先で事情を説明したらちゃんと駅員がなんとかしてくれた、ありがとうJR東日本!)、そして想像以上に駅ビルが寂れていておどろいた。駅の1階にブックオフがあることには感動したものの、至るところにある張り紙を見るとどうやら駅ビルすべて(!)が今月末には閉店するらしく、ところどころ棚がスカスカになっていて掘り出すべきものは見つけられなかった。昨晩西日本のひとは東日本の都市の栄えていなさにおどろくという言説を目にしていて、そのことも思いだされた(そんな体験をして到着した金沢、その栄えかたを見てもべつにおどろきが起こるほどのちがいを感じはしなかった)。

乗り換えには1時間ほど余裕があったので昼食を摂ろうと事前に何店か候補を見繕ってはいたのだが、そのうちのひとつであるハンバーグ屋目がけて駅前を歩いているうちにあまり腹が空いていないことに気づき、けっきょく「新潟産米使用」とラベルの張ってある鮭おにぎり1個で済ませたのだった。なぜならおれには今晩、北陸のとびきりうまい寿司が待っているので、、