衣服の中絶

しらぬまに寝不足になると脚に蕁麻疹がでるようになっている。腫れが身体のバロメータとなって体調がわかる。ポジティブ。かゆい。

友人の晴れの舞台に行きそびれる。武道館。地理的な遠さは、そのへだたりぶんの時間と金銭のおもさをうちに含ませている。そんなものにひきずられない生活をしたい。願望ばかり、願望ばかり。体調はよくない。不甲斐もない。

わたしは整然とした議論よりも、雑な議論のほうが好きだと思った。理知によってかぎりなく詰められたもののうつくしさやそれを読むよろこびも否定しないが、大味でぐちゃぐちゃであることが生む隙のようなものにおもしろさを感じている。

メディウム・スペシフィックについていくつかのweb上のテキストを読む。このブログにかぎらず、「そのメディアを選ぶのであればそのメディア固有のなにものかが制作/作品のなかで格闘されているべきである」みたいな話をわたしはなんどもくりかえしており、信じているが、はたしてそうなのか?という立ち止まり。とりあえずグリーンバーグの本をほしい本リストに追加する。積んでいるクラウスの本を棚からだしておく。わたしは「モダニズム」の語をおおまかに「機能主義(-用の美)」としてとらえていて、いまさらながらそれはこの「メディウム・スペシフィック」の話とも通ずるのかと思い至った。

夜、鮭と鱈とちゃんちゃん焼き風。白菜とじゃがで味噌バター味。

夜から昼前頃まで、よくはたらく。昼寝後、夕飯をつくりに降りると、めずらしく妹が包丁をにぎっていた。感謝の言葉をかけて、ふたたび寝室に上がった。

深夜に目がさめ、窓の外を見ると雪が積もっている。今季はつの積雪シーン。文化的ではないほうの雪かきの日々がはじまるだろう。妹のつくった大根と鶏の煮物で胃をみたす。うまい。

宮沢賢治ツェねずみ」を読む。おもしろい。「プイッ」だの「むちゃむちゃむちゃっ」だの「リュウリュウ」だの、漫画ちっくな擬音がいい味をだしている。そうした仕草のディティールから形成されるキャラクターの造形に、寓話のつよいちからを感じる。このようなにんげんはいるよな、と思わされる。


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明け方から夕ごろまでよくはたらきつつ、祖母が加入している無駄な契約の破棄に奔走する。悪徳業者の電話応対に腹が立つ。書類のやりとりで完結するものを、やめずにのこってもらいたいがために対面でおしすすめようとする強引さ。ひとまず今日できることがおわれば、こんどはテレビが映らないと嘆くのでその回復に努める。

夜、トマトチゲ鍋。白菜、豚バラ、ねぎ、豆腐。豆板醤、トマト缶、味噌、醤油、カイエンペパー、にんにく、生姜、ごま油、塩、和風だし。うまい。リクエストした妹は「わたしの分もとっといてね」といいのこして手をつけるまえに家をでた。わたしも食べてすぐに寝た。

生活における雑務が積みかさなっていて、思考がにぶっている。長期的なスケジュールが増えてきたのも、精神の負荷になっている。どんなものでもプロジェクトがうごきだしてしまえばきもちもうごいていくのだが、うごきだすまえの時間は何かが覆い被さっているような気がして、けっこう苦手である。きもちをうまく切り替えられるひとを尊敬する。ちいさなものから取り払っていく。

オフの日にするはずだったが、けっきょくワークする。難儀していたものの解決策につきあたり、安堵する。予定よりもはやく先方に投げられそう。

夜、鶏じゃが玉ねぎのコンソメチーズ炒め。うまい。

トロプリ39話。キラキラした海辺の背景。波打ち際の砂浜を踏みしめる素足。キャラクターの心情がそこに画として立ち上がっており、よかった。絵コンテ・西田正義。演出・岩井隆央。さんごのキャラの薄さが、そのままキャラの濃さ(他立から自立へ)につながっていくような作劇が感動的だった。ただ、「髪の毛サラサラ」「目はぱっちり」「お肌つるつる」といったルッキズムを強化するようなまなつからさんごへのエールはどうだろうか。「モデル」のオーディションを受けるということは、いくら時代が変容してきているといってもいまだに「見た目」が評価のおおきな尺度となった場に身を晒すことであるが、ヒープリの敵を助けないという選択みのりん先輩の「俳優ツッコミ」回などを描いてきたプリキュアだからこそ、そこからいかに自由になるかを描いてほしかった。とはいえ、髪の毛も、目も、肌も、トロプリのキーとなる「メイク」によってかがやきを増すポイントであり、「メイクアップアーティスト」を目指すことを決意するさんごの滑走路として機能しているのもたしかなので、その塩梅がむつかしいのだった。母がさんごの髪の毛を梳かしているシーンを前半にもってきていることがよくきいている。他人のかわいいをかがやかすこと。うごくエンドカードがまたも新規で製作されていて、声がでた。

バイス13話。回を増すごとにヒロミさんが好きになっていく。ラブコフを背にしての、「我が命を賭けて、この子を守る!」。熱血ギャグキャラの愉快さ。退場が噂されているが、しないでほしい。展開のたたみかけがすごいので、「心配」と「信頼」の説明的な演出や、兄弟の視線交わし後のバイスの補足などがあまり気にならずに観ることができている(ひとつの場所にとどまることをゆるさないスピード感)。洋画を観ていてけっこうあることなのだが、敵方のゲストキャラの区別がそこまでついていない程度の認識でもたのしんで観れるのがすごい。表層と深層が乖離せずにビューッと走っている感覚がある。