映画ベスト企画をやっている所為もあって記事をストックするくせがついた(とか書いてたらもうこれきりないのだが)。年末年始の日付を明記した執筆スタイルの影響も尾を引いていて、逐一ここをひらいて生活と心情を記録するようになっているのもその積みあがりの支えになっている。すぐに忘れてしまうささいなことも言葉にして残しておくことで半永久的に反芻することのできる出来事となる。記憶は儚い。
電車のなかでは小説を読み、家のなかでは人文書を読む。開高健とヴァージニア・ウルフ。スーザン・ソンタグとルイ・アルチュセール。寝床の横にそびえ立つ本棚が、なかば強迫観念のようなかたちで「読め」という指令を放って、わたしはそれに追い立てられながら頁をめくる。『哲学においてマルクス主義者であること』、主語の省略と言い換えが目立つ序文の文章がめちゃくちゃ読みにくく、「?」を脳内に浮かべながら読みすすめる。
アンナ・カヴァン『草地は緑に輝いて』、W.G.ゼーバルト『アウステルリッツ』を買う。3月はもりもり読む月にする。人生でいちばん読むことに時間を割こうと意気込んでいる。これまででいちばん読者に時間を費やしていたのは小学生の頃。あのとき図書室に通ってぶあつい世界文学全集を読んだことがわたしの基層となっている(内容はほとんどおぼえていないのだけれども、、)。
家系ラーメンの具材みたい
ジェイ・ソムの来日公演へゆく。悪名高きクアトロであるが、ちょうどよい感じの混み具合で柱に遮られることなくライヴをたのしめた。ドラムレスの編成というのもあってゆるい雰囲気ですすんでいき、フロアもほんわかしていていい空気感。野外で観たい。それにしてもグッズがなかったのがかなしい。レコードも買わずにこの日を待っていたのに! インディーロック界で流行の兆しを見せているマリア・メデムのイラストレーション、めちゃいいよね! LPは後日タワレコで手に入れた。
来日公演が続々とキャンセルされ、この未曾有の事態にプロモーターやちいさな箱が耐えきれるのかと心配になります。トレペまで買い占められていて、あと家に1/10ロールしかないわたしはこれからを乗り切れるのか不安です。ガセ云々がこんなに世を席巻する直前、最寄りのスーパーにひとつだけのこったものがダブルでなかったという理由で手をのばさなかった自分を呪います。小分けしてロール単位で売ってくれ。しかしながらあまりのふざけたげんじつに、ずいぶんとSF的な世界になったものだとわくわくしている自分もいて、そこで生じるしわよせ的な負の感情がすべて革命へと注がれればいいのになと思わざるを得ません。ため息をつきながらも従順な犬でしかないわたしたちが牙を剥きだしにする時代はいったいいつになったらやってくるのでしょうか。むろん、あきれわらいで済ませているわたしにもいえることです。