まるまりトーキング(NO FACE)

チャック・ラッセルブロブ/宇宙からの不明物体』(1988)。宇宙から飛来した殺人アメーバ(?)が街の人々を次々に殺戮していくSFホラー映画。だいぶまえに大学の先輩であるTさんからすすめてもらったおぼえがある。おすすめメモリストからあまり長くない映画を、ということで選んだ。95分。宇宙から空、街へと降下していくクレジット付きの長めのオープニングシーンを見て、こんなゆったりはじまっていって大丈夫かと思ったが、後半は容赦なく主要な登場人物たちが死んでいく展開でおお、となる。後味わるめのオチもウケるが、全体的に画があまりワクワクするものでなく、好みではなかった(クリーチャーによる個性的な殺人シーンはイカしていた、とくに排水口バキュームキル)。

夜、鶏トマ卵チーズ炒め。うまい。

夢のなかで感動して泣いていた。めざめてもそのシーンはきょうれつに脳裏にのこっていて、いつかわたしが書くもののなかにその光景を移設してやろうと思った。じっさいに存在するバンドの、存在しない楽曲のミュージックビデオ、という体の夢だった。

水魔4話。グエルの告白から逃亡するスレッタの場面、スタコラサッサという感じのカットのつなぎが冴えていた。まだまだひよこちゃんということで、つねに階段の低段にたぬきを位置させるのもいい。

Qさんから電話があり、同席していたSさんHさんの幽霊論をラジオ代わりに聞きながらひさびさに武田百合子富士日記(上)』をひらく。想起(と因果)が幽霊発生の条件として挙げられていたが、では誰からも、何からも想起されない幽霊は存在しないのか、と3人の話を聞きながら考えていた。話者が口にする「いま話している3人が」という声を耳にしながら、「3人」に含まれないながらも平面としてその場に存在し、話に耳を傾けているわたしは幽霊のようなものであろうか?とも。富士日記は相変わらずいい日記だ、と思った。

プリキュアの映画を観に行こうと思ったが、起きれず取りやめる。往復の交通費で映画が一本観れるこの映画難民地域に救いをくれ(ありがとう各種サブスクリプションサービス)!

夜、きのこ豚炒め。舞茸、エリンギ。うまい。ラーメンのしこみもおこなう。鍋に入れた水に煮干しを浸けておき、茹で卵を塩と中華スープの素を溶いた塩だれのなかに沈ませておく。明日は鶏煮干しラーメンをつくる。麺は市販。スープのみがんばる。



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ドンブラ34話。犬塚の呟いた「などと申しており」で夏美の記憶がふっかつするのがアツく、さらにはそれをスライドさせておでんのからしでソノイの記憶も元通りになる作劇がよかった。犬塚逮捕を見守る密告者・雉野の背景の窓でグラグラと傘を揺らす演出も見事。犬塚を取り調べるのが鬼頭叔母であるというヒキもすばらしい。思わず口から「おもしれー」と漏れてしまった。

デパプリ33話。ハロウィン回。あまねのパフェ食う速度よ! あまねにフィーチャーした回だったが、あまねでもフィナーレでもなく、演ずる茅野愛衣の芝居が際立っていたように思った。それに応えるように作画も映えていて、美麗な回だと思った。無音のつかいかたも冴えていた。「いたずらしてもいいコメ?」という台詞も相まってお化け仮装妖精ズのかわいさが○。スピリットルーがいつの間にか分裂しているのにもウケた。

夜、鶏煮干しラーメン。トッピングは白髪葱、味玉、チャーシュー、メンマ。うまい。鶏油をもっとたくさん抽出しておいたほうがよかった。味玉も味の浸透が薄かったのでもっと濃いたれをつくったほうがよかった。次回はスープに昆布も足してみるか。麺もべつのもののほうがよさそう。塩もグレードアップの余地あり。ほうれん草が具として合いそう。副産物として大量の出し殻煮干しと鶏そぼろができたので、前者は唐辛子とにんにくと塩を足して炒めてオイル漬けに、後者は酒砂糖醤油味噌を足して肉味噌風にする。

佐藤順一ユンカース・カム・ヒア』(1998)。多忙で留守がちな両親をもつ小学6年生の女の子・ひろみを主人公に、喋る愛犬・ユンカースとの日常や家庭教師への淡い恋心、親との対峙などをばつぐんの芝居作画によって描く。とりわけ、冒頭のひろみとユンカースが「犬が喋ること」について自室で対話するシーンの細やかな立ち居振る舞いに目を瞠った。しばらく家庭内のシーンを連続させたあと、「黒背景に割り箸銃」の画で学校のシーンに遷移させるのにも痺れた。のち、ひろみが弾を箒で撃ちかえして啖呵を切る場面があるが、そこで直撃を喰らった男児の友人が、クラスメイトたちのひろみに対する称賛の拍手への反応として照れを見せてあたまに手をのせるのを見て、マジで芝居がすごいぞ!となる。母が「父との別れ」を口に出した際のひろみの「止め」の怖さや、ひろみが圭介宛の手紙を盗み読んだ際に吹く「風」など、静かな演出のキレもいい。その地道な積みかさねが、唯一静けさが破られるクライマックスの浮遊シーンをよりワンダーに魅せることに成功している(ファンシーかつファンタジックなすさまじい背景作画!)。演出といえば、失恋シーンのエモさをコメディエンヌとしての家政婦の存在でセーブする一方、仲のわるい描写ばかりだった夫婦間において、いちどだけ「鈴子!」と叫ばせるのも心憎かった。劇中、もっとも頻出するであろうひろみの「はぁーい」という返事のもつぜつみょうな質感も、作品のいい重石として機能していた。ほか、白玉グリーンパジャマだったり、尾行時の格好(白ハンチング、サングラス、黄色水玉緑スカーフ、青ジャケ……)だったり、90'sファッションもよかった。