ニャオズ・バイブレーション

過日Qさんの電話のなかで、わたしが保坂和志の『残響』を引き合いにして書いた文言が音読された。
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そのことが、乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』にも書かれている、と思った。

「ウチはあんたとぜんぜんちがうし、あんたの今までのこととか知らないし、あんたが落ち込んでてもどう励ましたらいいかわかんない。バレエとピアノやってたヤツに、ウチはわかってるよなんて絶対言えないし。言えないけどそれでも、それでもっていうか、だからって感じかもしれないけど、一緒にいない時も、けっこう一人で考えてた、あんたのこと」

中盤、SNSでつながった「パパイヤ」と「ママイヤ」という17歳の少女同士が、より自らの心中を言葉にし、おたがいの絆を深める場面。まさに「残響」から引いた箇所と同じことが、べつのしかたで語られている。わたしとは「ぜんぜんちがう」あなたに対して、「わかってるよなんて絶対に言えない」ことを含みおきながら、「一緒にいない時も」あなたのことを考えていたと告白する、その際に、「それでもっていうか、だからって感じかもしれないけど」と接続詞を言いなおすその切実さに、胸を打たれないわけがあろうか? 「それでも」ではなく「だから」。ちがうといえども、ではなく、ちがうからこそ。「わたしのことを、わたしの知らないところで、わたし以上に考えたり汗を流したりしてくれる人がこの世にいる」こと。そのおどろきを、その感慨を、時代や場所を隔てても感知することができるのだと教えてくれるのが「文学」であり、その営みである。作中、海に向かって投げられたボトルは、「誰か」の手によって拾われる。「投壜通信」の逸話をだすまでもなく、その「信」こそがひとにものを書かせ、ひとにものを読ますのだ。タイトルの人名に挟まれるかたちで打たれた「・」の途方もない深さ、そしてつないだもののきらめくほどのちかしさに、わたしは感動する。

デパプリ32話。ちゅるフェス回。かつてレシピッピを奪ってしまった引け目がつくりだすあまねの入店前の表情・芝居にグッとくる。台詞でそれを説明しないのがまたいい。くまモン発見後、熊本ラーメンのディティールを語るさまにもわらう。ブンドル団であったからこそのくわしさなのだろうか。くまモンとの出会いを語るらんらんパパの回想シーン、ラーメンの具材が画面の四隅からあらわれる演出がいい。Aパートおわりの「ホワチャー」と聞こえてきそうな止め絵も◎。

ドンブラ33話。タロウオペ回。マスターがオペの直前だというのに給仕を優先するのがウケる。オペ室もそうだが、ピーナッツゲーム時など音楽のつかいかたが冴えていた。

水魔3話。エレベータで向かう決闘委員会(!)の部屋にどこまでウテナをやるんだとわらう。たぬきのミオリネに対するミオミオ呼びも距離感のわからなさがでていていい。グエルの求愛で締めるエンドもたのしい。コンテや演出で惹かれるポイントはとくにないのだが、話はおもしろい気がする。

夜、椎茸挽肉ニラ大根の中華風炒め。うまい。

ワーク中、猫にPCのプラグを抜かれてぜつぼうする。データを復元できなかったら泣いていた。コンセントのある隙間に入りこまれないよう試行錯誤する。それにしてもねむいねむいとからだにすり寄ってきて、わたしの膝を枕にねむる愛猫たち、かわいすぎる。圧倒的癒されが日々発生している。



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猫を譲ってくれた母の友人の家にケージを組み立てに行く。我が家の猫たちの兄弟や父母にも会う。みなかわいらしい猫たちだ。とくに母猫の白黒の模様の出方がホルスタインみたいでらぶい。兄弟はうちの猫に比べてずいぶんと体格がよく、毛並みも心なしかつやつやしており、ながめているとほんとうに同じ日に生まれたのか?と訝しむきもちさえ起こった。途中、ちかくのとんかつ屋で昼食を馳走になりつつ(ひじょうに美味だった)、ぶじケージを完成させる。うちにあるものと同じサイズだが、ポールがついていたり足場が多かったりしてグレードのちがいを感じる。ダックスフントの老犬もおり、撫でさせてもらって犬派のわたしはたいそううれしい感慨を抱いた。死ぬまでに犬と暮らす時間をもちたい。食材やチェンソーマンの最新刊などを買って帰宅。書店には『鉄道小説』が入荷していたので買うか迷ったが、こんどまとめて通販で買おうととりやめた。

夜、オムレツ、豆腐と豚肉のごまおからパウダー和え。うまい。たんぱく質!という献立。食後にカゴメのなめらかオーツを飲む。うまい。母が買いこんだまろやかソイがうちには山ほどある。

藤本タツキチェンソーマン』12巻。連載時、いったいどんな「巻」としてまとまるのかと読んでいたが、こうして単行本として読んでもきちんとおもしろかった。アサがどうしようもないやつだという印象が増した。同人会議でもチェンソーマンの話になり、1部で描かれたデンジの成長が2部でどう処理されるのかというOの言及があらためて要点を突いていると思った。

夜、あぶらげとわかめの味噌汁、かぼちゃのトマト煮、鶏ハラミとレンコンのねぎ塩炒め。うまい。