make some noise(yougazer)

昼過ぎにめざめる。相変わらずみなは怖い話をしている。みんなこんなにも怖い話が大好きなんだ。夜通し怖い話をするくらいに! バラバラに殺された妻と娘のからだを縫いあわせて誕生したのが***だ!とだれかの話の話されなかったオチ(つまりはわたしの妄想)があたまにこびりつく。

今日は町田へ。何年かぶりにおやじでおやじ麺。うまい。わたしの食べてきたなかで、暫定トップの味噌ラーメン。そもそも味噌ラーメンを食べることが少ないので母数も少ないのだが、ここの甘みあるスープは忘れがたく舌に刻まれている。のち、町田市民文学館ことばらんどで竹上妙「たけがみZOO」展。会場は建物の2階なのだが、階段部分からメインヴィジュアルともなっているチーターが歓迎してくれる展示構成が冴えていた。段ボールを支持体とした半立体の動物たちはにぎやかでたのしい。同じ時間帯に来場していた子供たちもたのしんでいたようだった。



竹上妙「たけがみZOO」展 展示風景


つづいて学生時代によく通ったブックオフへ。探していた本は見当たらなかったが、干刈あがたの『野菊とバイエル』を見つけたので買う。行きの電車でkacでアケルマン特集をやっているのを見つけており、次回上映まで時間的に余裕があったのでツインズ、マルイ、モディなどもめぐる。外は土砂降り。めぼしいものは何もなく、新百合ヶ丘へ。川崎アートセンターにてシャンタル・アケルマン『アンナの出会い』(1978)。序盤からねむいカットの連続(ねむいことはわるいことではない、おれはタルコフスキーを観てガン寝する)。不通電話の代償として渡される10マルク、しかし金は心を満たさない。『東から』(1993)で真価を発揮していた移動撮影はすでにこの作品のなかではっきりと芽吹いていた。アケルマンにはハネケも影響を受けたと以前目にしたことがあるが、たしかにつめたい画づくりは共通するものだと思った。「あなたのことを話して」「愛してと言って」と具体的に自らの娘に投げかける母、彼女と別れたあとの娘・アンナのバストショットのよさが印象的。

家系ラーメンが食いてえなと思い、なつかしの町田家へ。新百合ヶ丘店はおそらくはじめて。ひと口食べ、そうそうこんな味だ、という感じで、ふたくちめにはもういいよという気分になるが、また時間が経つと食べたくなるのだろうなと思う。帰りの電車でムージル『三人の女・黒つぐみ』ようやく読みおえる。描写がことこまかすぎて目がすべりまくる。ねちねちねちねちと同じ場所・同じ時間のまわりをつつきまわし、ぐるぐるぐるぐると似たような道を歩きまわっているのにつかれる。とくに末尾におさめられた「黒つぐみ」なんかは戦地で槍が振ってくる場面以外はすこぶる退屈だった。先刻観た『アンナの出会い』も退屈だったが、あっちにはこちらを照らすかがやきがあった。こちらはどこまで行ってもぬかるみの様相で、疲労だけがあった(前半はそれなりにたのしんでいた気がするが、読みはじめて何ヶ月も経っているのでもう忘れてしまった)。脚はこの経験をきちんとおぼえていられるだろうか。

玄関のドアを開けると、Oくん、Nちゃんがきており、今朝見送ったはずのNさんまで布団でねむっていて、今夜もおわらないパーティがつづいている。スピーカー、あるいは生演奏の形態でかき鳴らされるアジカンで夜が更けていく。花火もやる。家のなかでやる。線香花火がパチパチとはじける。もうもうと煙が上がる。家主の片割れであるQさんはねむっていた。ひとり、またひとりと消えていくなかで、Oくんと明け方まで話をし、彼が帰るのを見送る。

目がさめたとき、今朝ねむったときの人数よりも多い数の声がきこえてきて、正気か?と思ったが、もういちど目をあけるとわたし以外のだれもが消えていて、夢か?と思った。シャワーを浴びたり水を飲んだりしているとHさんQさんが昼食から帰ってきて、今朝はだれも増えてないよと諭される。ほんとか?

Nさんの置き土産のパンを胃に入れたあと、まずは国立新美術館でリー・ウーファン展。ウーファンではなくウファン表記になっていた。べつの作家でも読みが変わったなあと思う展示が何年か前にあったと思うが、なんだったっけ? ミュシャだ! 何年か前にオペラシティで開催されていた「単色のリズム 韓国の抽象」展がよかったなあという思いでがわたしをここに来させたのだが、そのときの感動が塗り変わるわけでもないボチボチの展示だった。ヤミーズ 旧ヤム邸でカレーを食べ(うまい!)、お次は森美術館へ。「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展。キュレーションはちょっとよくわからなかったが、お目当ての小泉明郎の新作がよかったので満足感はあった。原美で観た展示から引き継がれている作風の、「怖い」作品。会場には「匂い」を軸にした作品がいくつかあって、マスクをずらすという動作を観客にさせる(もちろんしないひともいる、というかそっちの方が大多数の気がするが)ありかたもよかった。訪れたひとに何かをさせるこのギミックは、わたしがこれまでやってきたすべての展示にも共通項として見いだせることだとこれを書いているいま気づいた。ほか、堀尾昭子の小品に心をうごかされた。わたしもこういうものがつくりたい。



小泉明郎《グッド・マシーン バッド・マシーン》展示風景


帰宅。ひとりで飲み、Qさんと飲み、Hさんが帰宅して3人で飲む。初日の夜以来の3人水入らずだ!とワクワクしていたが、早い時間にふたりとも寝床に入ってしまい、ひとりで夜を明かすことになった。途中までQさんに口頭で伝えていた、Tさんがついったでやりはじめた「#好きなバンド名ベストテン」をここで供養しておく。ランク付はせず、あたまに浮かんだ順。楽曲自体はべつに好きではないバンドも混じっている。

eastern youth
manequin pussy
mmm
リストカッターあおいちゃん
do make say think
badbadnotgood
viet cong
melt yourself down
猿ダコンクリート
vagina witchcraft