適切な肉体の不明瞭な重んじり

森とんかつ『スイカ』1巻。おもしろい。1話目1頁目の画面構成からしてたのしい。ヤケクソ感のある描き文字の擬音と、車のまま校舎に飛びこんでいく黒田硫黄のブチ抜きゴマを彷彿とさせる出勤風景。エンジン全開である。

同人会議、だったのだが開始5分前にねむりに落ちてすっぽかしてしまう。ひどい話だ。5分前の時点で通話オンにしておけばよかった。

渡辺信一郎夏目真悟スペース☆ダンディ』(2014)18-最終26話まで。おもしろかったじゃんよ。18話、漁師ルドリの娘・エシメの声がとにかくすごかった。当時10歳の小林星蘭が奔放ないのちを吹きこんでいた。たのしい波アニメーションや、釣景とすぐれた取り合わせをなす音楽もむちゃよかった。16話の湯浅回につづいて、今回は押山清高が脚本・絵コンテ・演出・作監を務めていた。

19話ではフルハウスのようなガヤのわらいや落胆する声などが導入されていて、回ごとのバリエーションにまた新たな層がかさねられたなと思った。餓死寸前のダンディを見てミャウが言い放つ「ゾンビの時より死んでますね」という台詞は物語の連続性を担保していて、各回それぞれが独立した並行宇宙の話でなかったことを示唆していた(「つづく」がないものはどうなのか? そんなのをしらべる気力はないが、、)。ミャウといえば、舌をペロンペロンさせる水の飲み方もベリキュートで見逃せない。ハニーの「ばっはあ〜い」はさいきんウテナでも見た。

20話は漫画演出(feat.上條淳士)と向井秀徳ががっぷり四つになった人気回。イデオンガオガイガー的機構をあらわにしたり、EDも映像・曲ともに今回専用につくられていたりなど、見どころがたくさん。「かんちがいロンリーナイト」はさいしょ向井自身が歌まで歌っているのかと思ったら、ダンディがだいぶ寄せたニュアンスで歌唱していた。

つづく21話もオウガが音楽を担当していて、もともとオウガの参加が見るきっかけになったくらいだからだいぶテンションがアガったのだが、そんなにおもしろくなかった。渡辺信一郎のテキストとあまり相性がよくないのかも。その小難しさにはカルスタ感が見いだせるように思える。

星形のタンブルウィードのようなものが転がっていく演出がたのしい22話、レコード屋「明石区レコード」や、メメクラゲに刺されたような顔をしたそこの店員が着ている「我路」Tシャツ、漫☆画太郎風のばばあなど、パロディがいつにもわたって展開され、愉快。EDでも流れるZEN-LA-ROCKのダンサブルなソングもいい(その名も「スペース☆ダンディ」!)。パロディと言えば、23話の「機動戦士デザイン 大河原邦男」にはわらった。シリーズを通して好みの回が多かったうえのきみこが脚本を手がけるベタなトレンディドラマも◎。

24話の3次元宇宙と2次元宇宙のちがいを横スクロールシューティングやインベーダーゲーム形式であらわす演出はだいぶ冴えていた。1stシーズンよりもおもしろい円城回だった。裁判形式で物語がすすんでいく25話は、エルゴプラクシーのクイズ回を思いだすようなつくり。ともに脚本は佐藤大。いがみあう野球少年ジャックとヒロシの声がサザエさんのカツオと中島なのがめちゃくちゃおもしろかった。最終26話はなんだかエルガイムみを感じた。敵の惑星の中枢に殴りこんでいくのと美術の感じが? ロボット回はだいたいイデオンみがだだもれしていたが、今回はガンバスターみも感じた。どこでもドアまんまのドアがでてくるのにはわらった。おかげでスワンプマン問題という思考実験をしる。物語はきちんと着地するのだが、ハチャメチャなこれまでの回を思いかえすに、べつに着地しようとしなくてよかったのではと思ってしまった。とはいえ、すぐれた作品だったのはまちがいない。

気分が沈降している。まずい。

よくはたらく。デザインワークにおいては、まいかいこれまでやっていなかったことをやる、という意識をつねに念頭において制作をおこなっている。安易な自己模倣に陥らずに、いかに脱皮しつづけられるか。同時に、最新作によって最高傑作を更新しつづけること。ともに難儀である。

夜、肉を焼く。


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たくさんの的の第3号がでました、全国のセブンイレブンコピー機で印刷できます(ネットプリント)、全体のデザインをやっているのと、詩を1篇書いています、ぜひゲトってください


トロプリ最終46話。泣く。劇場で変身シーンを観てからというものの、その都度涙ぐむ身体になっており、そこからの「あっという間に!」名乗りで放映早々限界を迎えた。天才の語句選定だと思った。夢オチという変身のつかいかたも、バトらない最終回にふさわしいおもしろテキストだった。泣きのシーン直後に看板をローラの頭上に倒したり、自身が人魚であることを明らかにしたローラが逆立ちになってピョンピョンとステージ上で飛び跳ねたりと、どんな場面でも茶々を入れてにぎやかす土田演出が隅々まで冴え渡っており、犬のフンを踏んでおわるエンドにはもうわらうしかなかった。

歌が大事な場面に用いられるのは映画との連動も感じ、うれしいきもちになった。今回は詞の意味よりもいっしょに「なかよしのうた」を歌うことこそが眼目だったはずで、映画公開時に難癖をつけられていた棒立ち感も薄れていた。すでにおたがいを忘れてしまったはずのまなつとローラが、相手の名前を思わず口にだしてしまってから事後的に思いだす展開は、まるでZガンダムのアムロとシャアじゃないか!とめちゃくちゃ感動した。そのやりとりののち、即座にアクアポッドがかがやいて、思いでのつまったシャボンピクチャーがあふれだす演出もサイコーすぎた。みのりん先輩の原稿がマス目から文字はみでまくってる理由がデカえんぴつで執筆しているからだというのもしれてよかった(今回の絵でははみでているようには見えなかったが……成長のあらわれか)。

バイス20話。ヒロミさん!!! ここのところもうこの叫びしかない。頼む、死なないでくれ!!! ほか、アギレラやフリオとの共闘シーンがアツかった。

ゼンカイジャー45話。ステイシーくんのカラオケ演出の卓越。このキャラクターの背景をなにもしらないが、その演出だけで愛されぶりがわかる。戦隊パロは歴史をしらないのでその妙味を味わうことはできなかったのだが、それでもめちゃくちゃヤバそうなことをやっているのはわかっておもしろかった。