にんげんのセイカツ

天皇制はもちろんなくなればよいと思っていますが、佳子眞子の抱擁には心がうごかされるものがありました。保坂和志が「残響」で書いていた雅子の心情にも通ずるエモーションがあります。映画化決定、と安易に口走りそうになるわたしがいます(じっさい、同人誌の会議でそんなことを話したおぼえがあります)。情のもたらすちからを感じます。かんたんに流される。

祖母と妹が連れ立って投票に行き、帰ってきたので話を聞いていると、外山恒一呉智英がいう免許制選挙は部分的にでも導入したほうがいいのではというきもちになってきます。政治のことを「考えない自由」を行使する(したい)層にとっても、そのほうが都合がいいのではないでしょうか。免許制を「選挙権の剥奪」ととらえるひとは、恵まれた家庭に育ち、政治に興味のない有権者とじかに触れあったことがないだけなのではとも思ってしまいます。「自由」という文字がそこに書いてあり、わたしは「自由」が好きだからという理由だけで、ひとはその字を名に含む政党に一票を入れたりするのです。しかも、小選挙区ではその政党の候補者を避けて票を入れているにもかかわらず、です。あるいは、かつて、たったいちどだけこの候補者と喋ったことがある、という理由で投票先を決めたりする。投票所に掲示された名前をながめて「どれにしようかな」で決めたりする。これがげんじつなのです。そうだとしても、という理想論的な態度にわたしは一定の共感をもちはしますが、やっぱりこんなのむちゃくちゃじゃないかと思ってもしまうわけです。そのむちゃくちゃさが民主主義なんだといわれたら、まあそうか、といいくるめられるじゅんびもあります。とはいえ、自由主義者と自由を求めない民主主義者たちの共生の可能性があるように思うのです。ここでいう民主主義者とは、民主主義にとって非理想的な主体を指しています。

夜、きのこのホワイトシチュー。しめじとエリンギのほかにしいたけを入れてみます。パセリも入れます。ほか、にんたまじゃがに鶏もも。にんにくは多めです。牛乳と豆乳をミックスします。美味です。

夜、二日目のシチュー。人参と鰹節の生姜マヨ炒め。


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座古明史・宮本浩史・貝澤幸男『映画 Go! プリンセスプリキュア Go! Go!! 豪華3本立て!!!』(2015)。シリーズ初の3本立て構成。しかもそのうち2本はフルCG(一方は二頭身デフォルメかつセリフなし!)という意欲的なスタイル。1本目は観客にミラクルライトを振ってほしい場面で応援マークが表示される親切設計がおもしろかった。これまでのプリキュア映画の王道的なつくりの2本目も、「売り上げをのばす」「宝物をあつめる」というネオリベ資本主義のマインドが敵として設定されていて、作品の舞台であるパンプキン王国が、パンプキンプリンをつくるための巨大な工場としてブラック企業化するという展開が攻めていた。「夢をゆがめ、絶望をあつめる」闇のコレクター・ウォープは、まさに夢を食い物にする搾取の権化である。プリキュアたちをとらえた場面でカメラがよく回転するのも本作の特徴だが、それは工場内の歯車≒酷使される労働者との連関を示唆させ、自身が歯車になって回転するのではなく、自身が軸となることで世界のほうをまわすことが映像的にイメージ化されている。本当の「宝物」として自身の「娘」があらわれるが、資本主義的な価値の外にあるものとして「家族愛」が称揚されるのはすこし危うい気がした。CGアニメにおいては声ののりかたがちがった風に感じられ、それは口のうごきとのあいかたが関係しているのかと3本目を観ていて思った。

田豊『映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪ 奇跡の魔法!』(2016)。『〜春のカーニバル♪』でやったミュージカル形式を今度は通常の劇映画で!という本作。心情が歌になり、そしてその歌こそが究極の魔法であると説くストーリーは、プリキュアシリーズにおける「音楽」の重要さを教えてくれる。音楽はひとを癒し、ひとをつなぐのだ。

テレビシリーズ本編を観ていないので映画からの推測でしかないのだが、『魔法つかいプリキュア!』は初代『ふたりはプリキュア』の「二人性」に回帰していて、本作では、はなればなれになるキュアミラクルキュアマジカルの再会までが中盤までのストーリーの軸に据えられている。魔女・ソルシエールの割れたハートの髪飾りも「二人性」を象徴し、お花見という「みんな性」を目指してプリキュアたちは奮闘することになる(「みんなで観覧車に乗る!」というDX2の記憶もここで呼び覚まされる)。あきらめそうなふたりを勇気づける先代プリキュアたちとの後輩・先輩関係も、先述のDX2と同様である。主役級のプリキュアが口々に言い放つ揃わない名乗りを踏まえて、「集え! 4つの光!!」と決め技を放った際に交わされる「集わない!?」→「集った!」の小芝居が愉快。

作中で流れる「夜明けまで遊んでおいで」という子守唄の歌詞は、「子供ら夜になっても遊びつづけろ!」(堀川正美)を思いだした。また、初登場から4年、ようやくEDでダンスを披露することができたキュアエコーが、画面に向かって、つまりは観客に向かって手を差しだすのは感動的だった。そう、わたしたちもプリキュアなのだ。