さよなら感情労働

いちにちかけて確定申告の書類をつくる。切手を貼って投函する直前まで直進する。

夕、ブロッコリを塩で茹で、かつぶしとごまと昆布茶とごま油でナムる。よい味。昨日のあまりといっしょに食べる。

夜、ラジオ。震災特集最終回。130分くらい。放映場所が変わったこともあって、録音環境があまりよくなかった。現代思想・政治哲学のテキストをラジオのなかで取りあつかう力量がまだわたしにはないことも痛感した。同時に、ある物量をもったテキストをそれなりに噛み砕いて話すために内容を単純化してしまうことへの疑義も浮かんだ。このことを踏まえながらいつかリベンジしたい。放送をzineにしたら、という提案ももらう。たのしいアイデアだけれど、そこに至るまでの時間と労力を考えると、なかなか着手できないなとも思う。見出しをつけつつ、排気口のツイキャスを聴きつつ、寝る。


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3月はこんなラジオをしていました


郵便局へ確定申告と開業届をだしに行く。春の気候。チャーシュー人参卵で炒飯をつくり昼食。夜のために豚肉キャベツを塩酢オイスターソースで炒めておく。何かを足したいが何かがない。干し海老でも入れておくか? 洗濯などし、ブログを書く。干し海老でも入れておいた。正解の足し算。

よくよく考えるとまいにちブログをあっぷしているということは、それだけで月産30000-50000字くらいは文字を書いているわけで、まあそれなりにやってるんだなという実感が湧いてくるけれど、だまされてはいけない。

電話を待ちながらジャネット・フレイム『潟湖』を読みすすめる。いちばん頁数が少なく、みじかい掌短編のあつまりだったのでこれにした。冒頭におさめられた表題作の、帯にも抜きだされた書き出しがとても好きなので、以下にも引用しておく。当時、書店の棚の前で、この文を読んで買うことを決めたのだった。

引き潮になると水は入り江に吸収されて潟湖はなくなる。汚らしい灰色の砂地が広がっているだけで、ところどころに濃い影のように海水がたまっている。水たまりでは、運がよければ蛸のあかちゃんがみつかるかもしれないし、点々のついた橙色の蟹の古い殻や、沈没したおもちゃのボートの残骸があったりもする。潟湖には橋がかかっていて、そこから下の小さな水たまりをのぞきこむと、海水やイグサや雲の切れはしと一緒くたになった自分の姿が見える。

電話は来なかった。