ニャル煮

今日もリビングで朝を迎える。フアン・ゴイティソーロサラエヴォ・ノート』を読みはじめると、母親が起きてきた。バルカン-ユーゴスラヴィアに対する関心はエミール・クストリッツァアンダーグラウンド』を観てからつよくなったもので、といいつつもその関心に沿って何かを深めたりということはこれまでしてこず、いまようやく頁をひらいた次第である。最初の章「エリート狙撃兵」では、クロアチア航空の旅客機を待つあいだに空港で見かけた旅行客の目的を推測して、執拗にその地での惨状が連打される。

私と一緒にスプリット行きの飛行機に乗り込んだ彼らは、いったい何をしに行くのだろうか。自宅玄関横の杭に串刺しにされ、曲がっていた背骨が奇蹟的に伸びたというせむしのアダムの死体を眺めにいくのか。自分の家から逃げなかったというだけの理由で、家の周りの柵の横木に、カラジッチの部下の表現によればトルコ時代のやり方で(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)串刺しにされたジプシーのイブロと彼の妻と息子の頭を見に行くのか。浄化の神と無敵の聖人サヴァに捧げられる先祖返りの儀式、すなわち手足切断と集団レイプと斬首の後、住民もろとも火をかけられたイスラム教徒の村グラプカの焼け跡の灰を見に行くのか。

この後もユーゴスラヴィア紛争での惨たらしい光景が次々に列挙され、血の匂いがけぶる沈鬱なムードによって本書は幕を上げる。口絵にはソンタグとのツーショット写真が配されているのも興味を湧かせる。読みすすめていくのがたのしみだ。

父や妹を送りだしたあと、でっかいテレビで井桁弘恵のDVDを観る。週プレの付録のもの。買った当初は再生機がなくて観れなかったのである。それにしてもかわいすぎないか? インタビューで自身の長所として本人の口からも発されていたが笑顔が無敵すぎる。表情の魅力。しぐさの魅力。

すこしだけ昼寝し、スーパーへ買いだしに。複数名の家族の胃袋をしばらくもたせるだけの量はいちどでは買えないなと思いながら野菜と肉を中心にぴゃらぴゃら買う。棚をゆっくりみるのはこんどにしようとビッグトートに食材をつめこんで足早に帰宅し、帰郷初日からリクエストがあったベーコンとキムチのミルクスープをつくる。タイ風ひき肉春菊炒めもつくる。スープは10年ぶり以上につくったが、美味だった。


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いい具合の時間にねむくなり、はやめに就寝。明日はダンバインを完走しよう。