無痛の苦痛

連休おわりのかなしみは在宅勤務でもかわることがない。朝8時。風がつよい。窓ががたぎし音を立て、外の廊下の目張りがバタバタとはためく。カーテンの裾が畳の上を這いずる。涼しい春の風が部屋のなかを通り抜ける。わたしは糸の切れた凧のようにそのなかをただよい、彼方へ消えてゆく。薄い白の敷かれた、まぶしい青に吸いこまれていく。

在宅勤務のストレスのひとつに、いつ電話がかかってくるかわからないというのがある。家というプライヴェートな空間に、労働という社会的な時間が侵入してくる不快。労働の異常さ、まるで自明であるかのように蔓延する賃金労働への疑念が多くの場所で生まれればよいと思っている。

スーパーがいまだかつてなく混雑していた。休業明けの求心力を思いしる。日をずらせばよかった。マスクをしていないことによる、つらぬくような白眼をかくじつに感じる。そんななか、顔面をむきだしにした仲間のすがたを目にすると、こころづよいなどと思ってしまう。カリカリ梅を買う。

わたしの愛用書店のひとつ紀伊國屋書店新宿本店が平日限定復帰をしたので足をはこぶ。客足はそれなり。平日昼下がりの混雑率がわたしにはわからないので、こうなる以前と比べたときにはわからない。が、おそらく多いのではと思うぐらい。1万ちょいぶんぐらい本や雑誌を買う。漫画も買いにブックファーストに行こうかといっしゅんおもうが、退勤ラッシュに巻きこまれるのがいやだったのでそのままひきあげる。電車に乗るのも3週間ぶりぐらいか。定期もう切れてるんだよな。マスクをしていないととなりに客が座らないので、手軽にソーシャルディスタンスできる。とか書いてたら両隣にひとが座った。拡散防止にはなるのであろうが、健康状態のひとにしてみればマスクは感染リスクを上げるだけなのではと文献を読むかぎり思っている。デュラスの『愛』を往復で60頁くらい読む。

帰りは立ちよる頻度の少ないお高めスーパーで、缶ビールとインスタントラーメンとカルピスなどを買う。ひとのながれがわるいハズレのレジにならんでしまい、テンションが落ちる。わたしはレジ運がわるい、これはあらゆるひとが抱く真理なのではと思いながらリュックに買ったものをつめてゆく。ビニール袋有料化の波。うちにあるビニール袋がなくなる前に引っ越そうとよわい決意をする。


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うますぎてなみだがでてくる餃子、細切りにした豚バラとパセリを餡に、ウェイパー、カイエンペパー、ブラックペパー、生姜、五香粉で味つけ、天国の味がする、無限に食べられる、いや嘘、油ものがきつい年齢になってきた、でもきもちのうえではいくらだって食べられる、そして御殿場高原ビールがうまい!!!!!

沢田新・浅井蓮次『バイオレンスアクション』1-2巻と福島聡星屑ニーナ』1-4巻を読みかえす。おもちれーーーーーー、となる。前者の続刊買わなきゃだし、福島聡の描く女の子のかわいさに殺されてしまう。アニメーターのやつ買ってないのでつぎ本屋に行ったときあわせてまとめ買いしよう。林田球ドロヘドロ』も家にある21巻まで読みかえす。最高におもしろい。『大ダーク』も買うぜ、ぜったい。いま思いかえすと、IKKIが休刊になってしまったことによってわたしの漫画熱の冷却は起こったのだろうかと思ってしまう買い逃しかたである。22、23は重版待ち、アニメは1話しか観てない、、(あんなんでええんだろうかと思った、原作読んでなかったらまったく意味がわからないであろう1話だった、テクノライズという6文字がいまあたまのなかを走っていった)。

明日は公園に本を読みにゆこうかな。野っ原に寝っころがって春の日差しと風とにおいに身を晒そかな。