あなたの勇気が無下にされないことを願う

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深夜2時半頃にめざめてしまい、外が明るくなるまでスマホををいじってしまう。好書好日で連載されているアトリエ会議がおもしろい。横尾忠則保坂和志磯崎憲一郎三者横尾忠則のアトリエでだらだら喋っている。役に立たないものをわたしもつくりつづけたいという思いにさせられる。

13時頃に起床。あいかわらずスマホをいじいじ。どこに行こうか迷いながら豚肉、しいたけ、ねぎ、卵で焼きうどんをつくる。食べながら今日は寺山やなと思い、シャワーを浴びるもちょうどいい電車に間に合わないことが判明。写美か古書ソオダ水を経由して向かおうと家をでる。駅に向かう途中で写美に行ってる暇はなさそうだと気づき、後者へ。ちいさいながらもいい感じの品々がならんでおり、ネグリ保坂和志と江代充の本を買う。その足で早稲田松竹へ。

現代詩文庫は一応家にあり、ゼミ合宿で青森の記念館にも行ったことがあるのだが、寺山修司をまともに受容するのははじめてで、それなりに期待して観てみたのだけれどぜんぜんおもしろくなかった。それぞれのカット自体には魅力を感じたが、その接続/切断のしかたには辟易とした。観ているあいだ、パラジャーノフやロブ・グリエの名前が浮かんでは消えていった。寺山の本質は編集者なんだと尊敬する年配者からいくどもきいていたが、今回の体験ではほんとうに?と首を傾げるしかなかった。まあ映画だけで判断するなということだろう。当時、いったいどの層に受けていたのかが気になる。『書を捨てよ街に出よう』も『田園に死す』も、現代にとってはまったくアクチュアルな作品ではなかった。何人かのひとらは上映中頻繁にゲラゲラわらっており、とどくところもあるのだなと自分の感受性の摩滅を反省した次第。ひな壇が川流れするのはめちゃくちゃおもしろかった。飛躍の脚力。

家に帰り、豚肉3枚でチーズを挟んでカツレツに。つけあわせはオリーブ、いぶりがっこタルタル、ワカモレ、クラッカー。うまい。うますぎる。ビールも2缶あける。幸せ。


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9時前に起床、即準備すれば朝の松本俊夫にまにあうが、さむいしねむいのでだらだらとする。松本俊夫と写美? あるいは円盤に乗る派? 服・帽子? と組み合わせる予定を考える。映画3本立てもありだなと思う。朝食はパセリ、ウインナ入りのかけうどん。

13時前に家をでて帽子屋にゆくも閉まっている。無駄足ばかりの人生だったと思いながら田中良佑✕divaagar「hello/ENTER」@Ultra Super New Galleryへ。はじめてゆくギャラリー、在廊していた田中さんと話しながら、対話の効用性をまざまざと感じる。次いで、小雨のなかを小走って今週3度目の早稲田松竹に。松本俊夫は劇映画でもすばらしく冴えわたっていて、キレた編集力の豪腕ぶりになぐられる。『薔薇の葬列』主演時のピーターが16歳だというのはゆめゆめ信じがたい。

下北沢で排気口のフライヤーを受け取りに行く。食事をしてから行こうと思い、まだ行ったことのないラーメン屋を目指すも、目的だった「こてつ」も「桑嶋」も閉まっている。無駄足ばかりの人生だった(本日2回目)と思いながら凪で麺をすする。おいしいよね、凪。15分だけ稽古を見学し、go to the izakaya。道中はピンチョンやヴァージニア・ウルフ、スティーヴ・エリクソンの話をする。店についてからはビールを飲みながら保坂和志や今回の作品の着地についてなどの話をする。こうやって文学の話ができるのってほんとうにすばらしいと思う。終電で帰宅。

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朝食はパセリと豚肉とチーズのスパゲッティ、ごま油でアクセントをつける。うまい。今日は日比谷図書館でマーロン・リグス『タンズ・アンタイド』と併映の『知られざる結末、斬新な幕開』。詩的で、獰猛で、愛に突き動かされたB.G.A(ブラック・ゲイ・アクティビスト)たちの沈黙と叫びが、ときにはげしく、ときにユーモラスに描かれる。声のちからづよさ、ブラザーからブラザーへ、地鳴りのようなひびきで、時代を越えてスクリーンの前のわたしたちに届いてくる。

鑑賞後にホールをでてみるといどぬまさんとりこさん、いどぬまさんの友人のひらいわさんがおり、これから代々木公園で夜のピクニックだというので混ぜてもらう。さむいさむいとつぶやきながら池のほとりでビールを飲んだりそら豆をつまんだりしたのち、代々木八幡の中華屋でまた追いビールをする。たのしいひとたちばかりですこぶるよいきもちになり、ほろ酔い気分のまま家に帰る。

霞ヶ関で降りる直前、乗代雄介「生き方の問題」を読みおえたのだが、はやくも今年のベストブックが決まってしまったという感慨。まだ併録の「最高の任務」は読んでいないというのにもかかわらず、である(冒頭10頁分ぐらいは群像発売時に図書館で読んでいる)。ほんとうのほんとうにすばらしい文章を書く作家だ。生涯新刊を買いつづけるだろう。

この日記のスタイルで今年はいくのだろうか?