浜辺のふたり

新潟の片田舎の無人駅で、一日に何本も走っていない電車を待合室で待っていたとき、わたしは統合失調症なんですと話すおじさんと言葉を交わす機会があった。もう5年もまえのことである。自らの状態に対して、そうやって名前をあたえることができるというのはふしぎだ、と思う。自覚の有用性、自らをたもつための対処法、わたしからわたしが離れていかないようにする方法、

夜、病、苦痛をやりすごす有効な方法。諸感情を記号で名指さないこと。苦痛とは何の関係もない苦痛もある。

ジョー・ブスケの言葉である。


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精神がとりもどされている感覚がある。昨晩はレコードユーアスホールに行き、未知の音楽にであったあと、CDにサインをもらった。サイン会という場でまともに喋れたことがない。無言でおわるか、喋ったとしても余計なことまで話してしまって家に帰ったあとに後悔するかのどちらかである。昨日は前者だった。今後の人生、もし自分がサインをする立場になったとしたら、客が自主的に話ださなくてもよいようにのどが枯れるまでべらべらしゃべりちらそうと決意する。

ハン・ガンの『回復する人間』がとてもよかった。とりかえしのつかなさと真摯に向きあうことの清潔さを教えられる。ちょうど疲弊していた頃に読みすすめていたので、頁をめくるごとにまさにわたしが回復する人間となっていた。韓国文学にハマりこんでいるのでなにかのまちがいでこの文を読んでいるひとはぜひおすすめを教えてください、『外は夏』、『惨憺たる光』を次は買う、並べて書くと詩句みたい、「外は夏、惨憺たる光」、そのまえにずいぶんまえに読みさしたままの『あまりにも真昼の恋愛』と『ギリシャ語の時間』を読む、最新号のスタジオボイスでも韓国文学に触れていた、原著で読めるようになりたい。

関西旅行の計画を立てはじめた。まだ代休の申請はしていないが、とりあえず岡山→神戸→大阪→京都の行程にしようかと思っている。4泊5日くらい? めちゃくちゃたのしそうだなとすでにテンションがブチアガっている。こんな長い旅行をするのも生まれて初めてじゃないだろうか。あまりにもうすい人生体験、、そんな生活から何が生まれるというのか、、

デザインの依頼がふたつ舞いこんできた。うれしい。