はりあいがないか、編み目をぬけでる

ヴィータリー・カネフスキー『動くな、死ね、甦れ!』@ユーロスペース、よい! 子供のはつらつさ、その生意気なかがやき! とにかく四六時中うるさく叫びつづける発話、会話、命を燃やして話している、生命の発露としてのヴォイス、スターリン政権下のしばられたところ、大人たちが牛耳る「圧政下」で鮮烈な火花をちらしながら燃え尽きていく少年少女。極東のいなか町、貧困の村落でちからいっぱい生きてゆくこと。「『大人は判ってくれない』を超える傑作」とDVDのセールスコピーにあったが、さもありなんのすばらしさだと思った。すくなくともおれは本作の方を推す(『大人は~』も好きだけれど!)

エーリック・ブロンベリ『白いトナカイ』@ユーロスペース、おなじ『白い~』でも雪の美しさは決死隊に軍配が上がるか、主演女優の目力がすごい、まがまがしさとうつくしさをそなえた、まさに吸血鬼にぴったりの配役、ヘルツォークノスフェラトゥ』のクラウス・キンスキー、サム・ライミ『悪魔のはらわた』のウド・キアーを思いだす(年代はトナカイの方がだんぜん古い)、雪そのものよりも、雪原をのっそりと駆けてゆくトナカイにうっとりする、あの脚の湾曲、過剰な音楽の印象、物語を駆動させるものとしての音楽、炎を囲みさわぐシーン(おまつり?)の火のゆらぎもとてもきれいだ、

むかしの映画を観ていて感じるのは画に対する情熱のつよさだ、もちろんいまの映画もその意識は流れているのだろうが、そのアベレージのたかさがぜんぜんちがうのではないか? と思ってしまう、物語性なんぞに映画を食い尽くされてはならない、と松本俊夫フォロワーのおれは思うのだった、いや単純にいい映画が現代に残っているだけでよくない映画は淘汰されてるだけだよという可能性も充分ある、勉強が足りない

主人公である吸血鬼の女がキリスト教におそれをなすのは十字架と吸血鬼のアナロジーとして? それとも精霊信仰との対立として? 途中ねむってしまったためそこらがよくわからず、もったいないことをしたなと思った、ちなみに本作の吸血鬼は満月の(?)夜に白いトナカイに変身するというスーパーなバンパイアなのだ!


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トーハクは建物自体もカッコよかった、常設もボリュームありすぎで運慶観るまえにけっこうつかれてしまっていた


ユーロスペースはいつのまにか自由席から座席指定にかわっていて、入場時にびっくりした(買うときには席を選んでいるのにもかかわらず気づかなかったのである!

去年は映画をたいして観にゆけなかったのだが、今年はわりとたくさん観ることができていて、学生の頃の水準までもどせそうである。美術館やギャラリーももりもり、はたらいてるのによくやるなと思うが、削られているのは演劇やライヴで、オウガのワンマン、バックホーンのマニヘブにいきたいなあでもなあとゆらいでいるのだった、そもそもチケットのこっているのか、そのまえにジャパニーズブレックファストの来日公演、エービーバーディウォンツトゥラービューーウ、エビバデウォントゥーラービューっ!