爪のうちがわを苗床にして

春服を買いにいった。セットアップを買った。ビビッドカラーではなくパステルカラーだけれども、いちねん越しの達成だ。着るのがたのしみ。

『沈黙』を観た。マーティン・スコセッシ。こないだ『タクシードライバー』を観てさほどこころをうごかされなかったおれだが、おなじ感じだった。べつに駄作とかそういうわけじゃないし、鳥肌だつシーンも両作ともにあるけれども、ミートしないんだよな。たぶんこれはダンディズムみたいなものにたいして嫌悪があるからだろう。おれは『ゴッドファーザー』がだめなんだ。

『沈黙』を観てまず思ったのは、逡巡を描くのは文学の仕事であって、映画に載せるのはむつかしいのだということだ。それにスコセッシってべつに文学に立ってるわけじゃないでしょう(2本観ただけの印象)。そんなことを考えていると頭をよぎるのはヨアキム・トリアーのことだった。

あとアダム・ドライバーでてるのしらんかったんだけどやっぱいいよね。あのひくーい声と、品がありながらも野趣あふれる風貌がさ。アンドリュー・ガーフィールドといい、小松菜奈といい、好きな俳優がけっこうでていてそこはたのしんだ。

虐殺器官』は凡作だった。「アニメゆえの、」にもっと踏み込まなければ、アニメ化の意義は薄れてしまう。ハリウッドで実写化した方がマシな作品に仕上がっていてざんねん。原作ファンなんて蹴散らすようなステップを期待していたのにな。ただ村瀬修功の画はほんとにふつくしひ……。マングロ倒産がなければもっとちがっていたのだろうか。

さいきんは溝口健二を観ている。あまりよさがわからない。画づくりもおなじ宮川一夫でも『羅生門』の方がずいぶんよかった気がする(観たのはだいぶ前なのでふたしか)。だいたい傑作といわれている『雨月物語』を観たときにも「?」だったので当然といえば当然だ。歳をかさねればわかるようになるのか? べつにわからなくていいが。

MUBIが気になる今日この頃です。
あと現代詩手帖4月号に詩が載っています。
よろしくお願いいたします。