分間、テンデンシー

『コールド・フィーバー』を観た。アピチャッポンの『フィーバー・ルーム』のにぎわいをみてうらやましいとも思ったが、こっちもよかったもんね! 永瀬正敏主演、冬にぴったりのアイスランド縦断(横断?)ロードムービー。ちゃんとつめたさがつたわるベリコールドな映画でした。

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あとは恵比寿映像祭にいった。観たのはTOP Museumとnaddiffの二箇所。テロがけっこうおおきく扱われてきたのが印象深い。現実を変容させるパワーとして、題材に適しているよなと思った。それこそ映像の世紀的な。あとは《tango》という、ひとつの部屋に、ひとつの行動を反復する何人ものひとびとが集まって、やがて去っていくループアニメーションもずっと観ていられた。

ねこぢる展にもいったのだった。インド旅行記ねこぢるうどんを小学生の頃に古本屋で立ち読み、その後の人格形成におおきな影響を受けたのだった。でかい原画でみると、内容だけでなくトーンワークもきちがいじみていて○。客層もなぞめいていてよかった。

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あと何よりも横浜市民ギャラリーあざみ野で26日(日)までやっている新井卓展「ある明るい朝に」がめちゃくちゃよかった。日本で唯一のダケレオタイプ(銀板写真)作家による、写真と映像(つまり光である、像をうつしとるための光、写真をみるための光、盲目の少女をふりむかせる光……)を軸にしたインスタレーション。2階でやっているカメラオブスキュラの時代からインスタントカメラの時代までを、撮影機材とファウンドフォトを中心に概観する展示とあいまって、おおきな展示空間ではないのだけれども3時間ちかく滞在してしまった。物質に時間が刻印されること。タルコフスキーは『映像のポエジア』に「映画は時間の彫刻である」というようなことを書いていたが……とつらつら述べるのもいいけれど、そういう「言葉の費やし」ではなくてとにかく観てほしい。そんなきもちだ。